クリスチャニアはデンマークの首都、コペンハーゲンの一等地に位置する自治区。大きな湖に囲まれるように存在する、およそ34ヘクタールの街だ。詳しくは前編後編を読んで頂きたい。一歩そこに踏み込めば、クリスチャニア独特の平和で穏やかな空気が流れている。

今回は、クリスチャニアに来た際には是非訪れてみてほしいスポットをいくつか紹介しよう。

クリスチャニアにある、美味しいカフェやレストラン

夏の間、特にオススメなのはテーブルと椅子が外に並べられている”Morgenstedet”。こちらは20年以上前からあるヴィーガンカフェだ。店番のスタッフはボランティアで、交代で行われているのだとか。

メニューは毎日1種類のスープと、2種類の温かいメイン料理に6種類ほどのサラダがあり、全てオーガニック食材と調味料で調理されている。

レジで食べ物を選んで自分たちでテーブルに運び、食べ終わったら自分たちでお皿を戻す。ペットボトルの水を買おうとしたら、水は無料でタップウォーターを提供してくれた。この日は色合いがとても綺麗なタイカレーを選んだ。色の組み合わせが美しく、味付けも優しい。ここなら外食は控えめにしないと、と言う必要がないほどヘルシーだ。

食事が終わったらコーヒーを飲みにCafé månefiskerenへ

このカフェは夏の間は外の席に人が溢れかえっているが、店内はなかなかユニークな内装で、居慣れない空間のようなのになぜか居心地が良い、とてもリラックスできる場所だ。奥では静かにビリヤードを楽しんでいる人たちがいる。水を飲む用のグラスに注がれたコーヒーは、思いの外美味。

お腹がいっぱいになったら、クリスチャニア内を散策

クリスチャニアにある家の多くはDIYでつくられている。こちらの廃材屋には、キッチンからトイレ、木材やインテリアにまつわるリサイクル品が一通り置いてある。みんなここで廃材をゲットして、各々の家作りに活用しているようだ。

基本的に住居が立ち並ぶエリアにも入っていくことはできるが、マナーを守って散策したり、写真を撮ることがルールとされている。バナナハウスというドイツ人の建築家達によって建てられた有名な家がある。ここには海外から来る多くの人たちが足を運んでいるようで、“no photo”の張り紙が貼られている。ネット上でも特に詳細な場所の情報が掲載されているわけではないので、静かに散策して探してみるしかない。散策しているとどの家もとても個性的で、ここでしか出会えないような家が立ち並んでいる。

疲れたらお気に入りのスポットを見つけて休憩

エントランスに近いほど賑わっている楽しさはあるが、奥に入っていけばそこには、コペンハーゲンやクリスチャニアにいることを忘れてしまうような、自然の原型が広がっている。水辺でくつろいでいる人や、裸になって泳いでいる人、絵を書いている人など、各々のリラックスした時間を楽しんでいる。

少し湖の周辺を歩き橋を渡ると、そこには力強くそびえ立つ木が見える。鉄の棒があることに構わずなのか、受け入れてなのか、のびのびと育っている。まるでクリスチャニアの歴史を表しているようだ。

クリスチャニアには街灯が無いため夜は真っ暗

クリスチャニアを自転車で抜けて家に帰る途中、自転車のライトを取り付けるのを忘れてしまい、真っ暗で携帯のライトをつけた。しかし真っ暗な中で見る湖はとても美しく、暗くなりきらない夏の夜空が湖に反射してとても幻想的。

湖の上には、クリスチャニアならではのデザインのボートハウスが存在する。昼間にコペンハーゲンでボートをレンタルし、クリスチャニアの周辺まで来てみたら、クリスチャニアのトレードマークがペイントされたボートハウスを見つけた。かなり浅瀬なスポットなので、家やボートハウスを設置しやすかもしれないが、土地の権利はどのようになっているか気になるところだ。この水辺では、裸で泳いでいる人達を見かけることも珍しくない。結構な浅瀬になっているスポットもあるので、ボートで近く時は注意が必要だ。

クリスチャニアで、よりローカル感を感じたければ、Woodstock(ウッドストック)というバーがおすすめ。店内はタバコの煙でモクモクしている。所狭しに味のある大人達がたむろしている様子は、まるで映画の世界に居るような気分を味わえる。タイミングがよければローカルバンドが演奏をしていることも。もちろん、タバコの煙が苦手な人は、店の外にもテーブルと椅子が並べられている。

コペンハーゲンで日本に買って帰るお土産に悩んだら、クリスチャニアにはいろんなオプションがあるので覗いてみることをオススメする。ポスターやステッカー、ライターや巻きタバコ用のペーパーなどのちょっとした小物から、Tシャツにエプロン、クリスチャニアサッカークラブのユニフォームまで幅広い選択肢がある。値段も手頃なので、コペンハーゲン市内で手軽なお土産が見つからなかったら、クリスチャニアならではのアイテムをゲットして帰ると、土産話にもインパクトが残せるかもしれない。

他にもクリスチャニア内には、ライブハウスや教会にサウナまである。どの場所もコペンハーゲンにいることを忘れてしまうほど、クリスチャニアならではの個性が満載だ。およそ1,000人近くのコミューンが、こんなにも平和でピースフルな環境を作り上げているなんて、まるでおとぎの世界にいるような、どこか非現実的でもある。

デンマークの多くのカルチャーはここから生まれたということを思い出すと、クリスチャニアとデンマークの関係性は、愛に満ち溢れている。人間がより人間らしく生きるために、自由とモラルを追求し続ける街、クリスチャニアに来たら、思い切っていろんな場所を探検してみて欲しい。

All photos by Natsuko Natsuyama

NATSUKO

モデル・ライター
東京でのモデル活動後、2014年から拠点を海外に移す。上海、バンコク、シンガポール、NY、ミラノ、LA、ケープタウン、ベルリンと次々と住む場所・仕事をする場所を変えていき、ノマドスタイルとモデル業の両立を実現。2017年からコペンハーゲンをベースに「旅」と「コペンハーゲン」の魅力を伝えるライターとしても活動している。
Instagram : natsuko_natsuyama
blog : natsukonatsuyama.net