逃げながらも「来て!来て!」 クマに遭遇した登山家が崖から落ち死亡

画像はイメージ(Christopher Amrich / Flickr

海外・ギリシャ北部の森林地帯で、61歳のハイカー、Christos Stavrianidisさんが、クマに遭遇してから崖下に転落し死亡するという衝撃的な事故が発生しました。

【動画】スマホには最後の様子が…  クマに襲われ亡くなった登山家

Greek Reporter」などが報じています。

クマに襲われ死亡した登山家

動画には、自身の携帯電話で「どこにいる?来て!」と叫ぶ様子や、クマが接近する直前の恐怖が捉えられています。

事故は2025年6月9日、ブルガリア国境近くのドラマ県フラクトス森林で起きました。

Stavrianidisさんは友人とともに歴史的な戦闘機の残骸を目指してトレッキング中、茂みの中から出てきた成獣のブラウンベアに驚きました。

US LIVE」によると、友人は「犬がクマの注意を引いた数秒の間に、僕はペッパースプレーを出したが、その後、クマが友人のところへ行き、彼を崖の縁から押した」と証言していました。

動画には、Stavrianidisさんが携帯を構え、クマの姿を捉えている場面が映っています。

カメラ越しにクマを確認した彼は「来て!来て!」と声を上げ、その直後に咳のような音が聞こえ、続いて落下音が収録されています。

同行者は救助隊に通報し、森の中深くに転落したStavrianidisさんを救助しましたが、病院到着後に死亡が確認されました。

anews」によると野生動物保護団体Arcturosの報道官は、「今回のクマの行為は捕食目的ではなく、自らを守ろうとした防御的な行動である可能性が高い」と説明しています。

ギリシャ北部には約450~500頭のブラウンベアが生息しており、人間との接触が増えることでこうした悲劇が起きるリスクが高まっています。

この事故は、登山や自然散策が盛んな地域において、ハイカーが遭遇最前線で被害を受けるという稀ながらも致命的なケースとして注目されています。

Text by 浅田 一