ヤマト運輸がベトナム人ドライバー500人を採用・育成 「なぜ日本人を雇わないのか」の疑問相次ぐ
画像はイメージ( nagi usano / Wikipedia Commons )
FPTジャパンホールディングス株式会社とヤマト運輸株式会社は、2025年11月13日、特定技能制度を活用したベトナム人の大型トラックドライバーの採用および育成に関する基本合意書を締結したと発表しました。
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ヤマト運輸がベトナム人ドライバーの採用と育成
物流業界全体の輸送力強化に貢献することを目的としており、今後の持続可能な輸送体制の構築に向けた連携が期待されています。
この合意は、日本のトラックドライバーの平均年齢が50.9歳と高齢化している現状を踏まえ、将来の人材不足を見据えたものです。
一方、ベトナムでは海外での就労を希望する若年層が増加しており、両国のニーズが合致したことが背景にあります。
合意内容によりますと、FPTグループが運営するベトナムの教育機関において特別クラスを新設し、2025年12月以降に入学希望者の募集を開始する予定です。
2026年からは半年間の現地育成プログラムが始まり、日本語(N4レベル)や日本文化、安全運転に関する教育を受けた後、日本で1年間の追加研修を行います。
日本語レベルの向上(N3レベル)に加えて、ヤマト運輸監修による応用的な安全学習も実施され、安心して日本国内で就労できる環境が整備される予定です。
ヤマト運輸では、この制度を通じて毎年100名のベトナム人ドライバーを採用することを目標としており、外国人材の長期的な定着と成長支援にも注力していく方針です。
なお、この取り組みの連携相手であるFPTジャパンホールディングス株式会社は、ベトナムのICTリーディングカンパニーであるFPTグループ傘下の日本法人です。
2005年に設立され、日本とベトナムの文化や経済の架け橋として、RPAやクラウド、AIなどの先端技術を活用したソリューション提供を行ってきました。
また、同グループは2014年からヤマトグループと協業を開始。
ベトナム市場での新規ビジネス創出や人材交流にも積極的に取り組んでいます。
FPTコーポレーション本体は、世界30年以上の実績を持つベトナム最大級のテクノロジー企業で、グローバルにIT人材・サービスを展開しています。
2024年には売上高約24億7,000万ドル、従業員数57,400人を記録するなど、国際的な存在感を強めています。
SNS上では今回の発表に対し、「なぜベトナム人?」「日本人ドライバーをもっと採用してほしい」といった意見が相次ぎました。
こうした声に対し、NewSphereがヤマト運輸株式会社に取材すると次の回答がありました。
「本取り組みは、宅急便などをご自宅にお届けする宅配ドライバーの採用ではなく、特定技能制度を活用してベトナム人を『幹線輸送を担う大型トラックドライバー』として採用・育成するものであり、外国人ドライバーの採用・育成プラットフォームを構築し、社会的インフラとしての持続可能な物流の実現を目指しています。
ヤマトグループでは、日本人ドライバーの採用も実施しておりますが、トラック業界は50歳以上が約半数を占め、日本の大型トラックドライバーの平均年齢は、50.9歳と全産業と比べ6.8歳ほど高くなっております。
物流業界全体における輸送力の維持・強化のためには、将来を見据えたうえで、国内外の意欲ある若年層を『幹線輸送を担う大型トラックドライバー』として育成していくことが求められており、その社会課題解決につながる取り組みの一環となります。
採用者には、入社前の段階で、日本語だけでなく日本の文化や、ヤマト運輸監修の安全教育を学習いただき、入社後はヤマト運輸の社内運転免許を取得後、拠点間輸送を担う大型トラックドライバーとして活躍いただく予定です。
当社は、外国人との共生社会を実現し、多様な人々が活躍できる環境の整備を推進してまいります」
今後も、こうした国際連携を通じて、物流と人材の両面から日本社会の持続可能な発展を支えていくとみられます。




