晴海フラッグで中国人魚屋が路上で無断販売… 10回以上の通報も効果なく住民にできることは?
画像は住民提供
2021年に行われた東京五輪で、選手たちが宿泊する「選手村」だった晴海フラッグ。
【動画で見る】晴海フラッグで起きている中国人魚屋の無断販売、民泊
五輪終了後、一般住戸として販売され現在は分譲や賃貸として住民が住む晴海フラッグ周辺で、中国人業者による魚の路上販売が続いていることが問題視されています。
晴海フラッグで横行する民泊と魚の路上販売
住民によると、魚を中国人住民に路上販売する車が出没するようになったのは2025年春頃からのこと。
横断歩道のすぐ脇に停車し、魚を中国人住民に販売する姿が確認されています。
有志の住民が通報を続けていますが、現段階では警察が職務質問にとどまっており、実質的に取り締まりが進んでいない状況です。
警察には10回以上通報しているものの現状では注意にとどまっており、住民は対応に怠慢さを感じると話しました。
この魚屋は中華圏ネットワークを通じて活動しており、住民が中国の決済アプリ「WeChat」を経由し依頼しているとみられています。
魚屋は「ネット決済した魚を路上で渡しているため問題ない」と主張しているようです。
「WeChat」は過去に脱税疑惑が浮上したこともあり、税務面での懸念も指摘されています。
魚屋は春の間、毎週月曜日の午前8時30分頃に姿を見せていたとされます。
夏に一度は減少したものの、最近になって再び現れるようになり、以前よりも遅い時間に訪れるケースがあると住民は話しています。
住民たちは管理会社にも報告していますが、管理会社側は「公道での行為は警察案件」として対応を限定。
街区によっては管理スタッフが駆けつけることもあるものの、根本的な解決には至っていません。
そのため元都議をはじめとする複数の議員にも相談し、取り締まり強化を求めている状況です。
さらに、晴海フラッグでは管理規約で禁止している民泊利用の疑いがある部屋も確認されており、「Sun Village」や「Sea Village」など眺望の良い棟を中心に多いと住民は指摘しています。
加えて無許可のタクシー行為である「白タク」も日常的に見られるといい、地域の生活環境に対する不安が高まっています。
魚の路上販売そのものは一見小さな出来事に見えるかもしれませんが、背景には国際的なネットワークや法規制の抜け穴が存在している可能性があります。
地域の安心と安全を守るためには、警察や行政による実効的な対策が求められています。
弁護士の見解は?
上記のように住んでいるマンションで無断の路上販売と民泊を目撃した場合、住民はどのような行動を取ればいいのでしょうか。
NewSphereは、「弁護士法人ユア・エース」の正木絢生代表弁護士に見解を聞きました。
ーーこのように警察の注意に応じないことと脱税疑惑が出ていることについて、住民が法的処置をとることはできないのでしょうか。
「住民が訴訟等の法的措置を取ることは現実的ではありません。訴訟等の法的措置を取るためには、相手の氏名・住所等がわからないとできません。
これを把握しようと接触したり、つきまとったりしたら、自分が訴えられるおそれがあります。
違法行為があると思ったら、警察や保健所に通報をすることが現実的です」
ーー公道を占有する点で違法・迷惑 食品衛生上のリスク 治安・景観の悪化などさまざまな問題がある中、なぜ警察は逮捕や取り締まりに動くことができないのでしょうか。
「警察が『逮捕』や『刑事的な摘発』にすぐ踏み切れないのには、いくつかの運用上の制約があります。
まず、違法駐車や迷惑行為といった軽微な違反行為については、通常は現行犯での対応が原則とされています。
つまり、その場で取り締まらない限り、後から逮捕や告発というのは難しいのが現実です。
また、『宅配型WeChat』のような個別取引に対して、違法性を立証するための証拠収集が困難であることも一因です。
たとえば、脱税の疑いがあるとしても、裏付けとなる帳簿や売上記録、決済履歴を警察単独で調査するのは難しく、これは国税庁の調査権限が必要になります。
さらに、公道の一時的使用が『業務の一環』と主張された場合、道路交通法違反(第76条・第44条など)には該当しても、刑事事件としての立件や逮捕に至るのは稀で、通常は行政指導(口頭注意・警告)にとどまります。
つまり、警察の対応が弱く見える背景には、『法律上の限界』と『証拠の難しさ』『優先度の判断』があるのです。
ただし、複数回の通報や近隣住民の継続的な情報提供があれば、地域の治安対策として重点的なパトロール・指導対象となる可能性もありますので、声をあげ続けることは無意味ではありません」
ーー晴海フラッグで横行している民泊に対し、管理組合側は民泊禁止の貼り紙を掲示したり、警察への通報をしたりするなど対策をとっています。ですが現状、民泊をする人はゼロにはなっていません。この場合住民はどういった法的処置をとることができるのでしょうか。
「個々の住民は自分の住居だけに権利があり、他の住居には権利がないので、違法民泊に対して法的処置をとることは難しいです。
管理規約で民泊を禁止しているのであれば、管理組合に情報提供することで、管理組合が具体的な行動を起こしやすくすることが現実的と考えます。
マンションの目的外使用は晴海フラッグに限らず日本人の間でも以前から起きている問題です。
住民間の深刻なトラブルになって大変な被害が発生することもあり得ます。管理組合を通した対応が適切と考えられます」

正木絢生(まさき・けんしょう)弁護士
弁護士法人ユア・エース代表。第二東京弁護士会所属。消費者トラブルや交通事故・相続・労働問題・離婚・借金など民事事件から刑事事件まで幅広く手掛ける。
BAYFM『ゆっきーのCan Can do it!』にレギュラー出演するほか、ニュース・情報番組などメディア出演も多数。YouTubeやTikTokの「マサッキー弁護士チャンネル」にて、法律やお金のことをわかりやすく解説、ユア・エース公式チャンネル「ちょっと気になる法律相談」では知っておきたい法律知識を配信中。
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