銀河の果てで誕生した原始星からガス噴出 新潟大学チームが世界初観測
画像はイメージ( Bernd Thaller / Flickr )
新潟大学を中心とする研究チームが、銀河の果てで生まれたばかりの星からガスが噴き出す様子を世界で初めてとらえました。
【画像】地球から2万6000光年先 銀河外縁で“生まれたての星”を発見
この成果は、米国の天文学専門誌『The Astrophysical Journal』に掲載されています。
研究対象となったのは、地球から約2万6000光年、銀河中心からはおよそ5万光年離れた場所にある原始星「Sh 2-283-1a SMM1」です。
5万光年といえば、私たちが夜空で見上げる代表的な星・ベテルギウス(オリオン座の赤い星)が約600光年先にあるのと比べても、さらにそのおよそ80倍も遠い位置にあたります。
つまり、肉眼で見えるどの星よりもはるか彼方にある「銀河の外縁」で星が新しく生まれていることを意味するのです。
この星は、まだ中心で核融合を始めていない「原始星」で、周囲にはガスや塵の雲が残っています。
材料を取り込みながら余分な物質をジェットのように吹き出しており、生まれたばかりであることを示しています。
さらに周囲は高温で化学反応が盛んな「ホットコア」と呼ばれる状態にあり、銀河の端でこの段階の星が確認されたのは今回が2例目です。
観測ではメタノールなどの有機分子も検出されました。
生命の材料となる物質がこうした環境で見つかったことは、若い星の成長とともに宇宙の辺境でも豊かな化学が育まれていることを示す重要な成果です。
研究チームは「星の誕生を支える物理法則はどの環境でも共通している」としながらも、化学組成には環境ごとの違いがあると指摘しており、今回の発見は多様な宇宙の中で星と生命の可能性を考える上で新たな手がかりとなりました。




