エチオピアで発見された歯の化石 「未知の新種の可能性がある」

画像はイメージ(Mason Hintermeister / Wikipedia Commons

エチオピア北東部アファール地域で発見された歯の化石が、未知の新種アウストラロピテクスに属する可能性があると、米国などの国際研究チームが発表しました。

【動画】「さらなる証拠が必要」エチオピアで発見された歯の化石

成果は科学誌『ネイチャー』に掲載されています。

未知の新種の化石を発見

化石は約260万年前の地層から見つかり、同時期に初期人類と共存していた可能性があるといいます。

2018年2月、化石ハンターのオマル・アブドラ氏が丘を下る途中に歯の化石を発見。

その後、十数点が採集されました。

形態や大きさが既知の種と異なり、ルーシーで知られるアウストラロピテクス・アファレンシスやアウストラロピテクス・ガルヒとも一致しなかったことから、研究チームは新種の可能性が高いとしています。

ただし、頭蓋や骨格が未発見であり、さらなる証拠が必要だという見方もあります。

一方、この見解には懐疑的な声もあります。ルーシーの発見に関わった米国の古人類学者ティム・ホワイト氏は、歯はアウストラロピテクス・アファレンシスから進化した個体のものであり、新種と断定するには根拠が不十分だと指摘。

スペイン・ブルゴスの国立人類進化研究センター(CENIEH)の研究者らも、同時期の歯の形態には種をまたいだ重複が多く、今回の標本は既知の変異の範囲内とみられるとしています。

それでも、同地域からは初期のヒト属やパラントロプス属の歯も見つかっており、約250万年前の東アフリカには複数の系統が共存していた可能性が残ります。

研究チームは、当時の環境変化が人類進化における多様な進化を促し、その中で最終的に現生人類のみが生き残ったと推測しています。

この研究成果に対し世間では、「私たちの進化ほど重要なものはない」「とてもクールで素晴らしい発見だ」といった称賛の声が複数寄せられています。

一方で、「誤情報で人々に価値がない」「実際には新種ではないのでは」といった懐疑的な意見も見られました。

Text by 本間才子