愛媛の地下水で発見された新種のゲンゴロウ4種 「雄交尾器の特異な形態」

画像はイメージ(melvil/ Wikipedia Commons

三重県津市を拠点とする研究チームが、愛媛県内の地下水から4種類の新種ゲンゴロウを確認しました。

【画像】日本では29年ぶり 愛媛で発見された新種のゲンゴロウ

日本昆虫分類学会の学会誌 『Japanese Journal of Systematic Entomology』に掲載されています。

愛媛で新種のゲンゴロウ

このうち1種類は新たに属が設けられる新属新種で、日本においてゲンゴロウの新属が見つかるのは29年ぶりです。

この調査を行ったのは、元教員の秋田勝己さんをはじめとする国内各地の専門家ら約10人で構成される「地下水生甲虫研究グループ」。

見つかった4種類はいずれも体長がおよそ1.2〜2.4mmの小型。

このうち「マツヤマイドケシゲンゴロウ」は、新たに設けられた「マツヤマイドケシゲンゴロウ属」に分類され、「属」は分類階級で「種」の一段上に位置づけられます。

残る3種は「クノムラムカシゲンゴロウ」「クノムライドケシゲンゴロウ」「マツヤマムカシゲンゴロウ」で、いずれも地名や河川名をもとに命名されました。

研究グループは、地元住民や企業、自治体の協力を受け、井戸水をくみ上げて水中生物を採集・観察。

マツヤマイドケシゲンゴロウとマツヤマムカシゲンゴロウは松山市の重信川近くの井戸で、クノムラムカシゲンゴロウとクノムライドケシゲンゴロウは宇和島市の来村川で、それぞれ複数個体が見つかりました。

秋田さんは、地下水には多様な生物が生息しているにもかかわらず、その実態はほとんど知られていないと指摘。

今回の発見を多様性理解の出発点と位置づけ、良質な水環境に生息する昆虫であることを広く知ってもらい、「虫=不潔」というイメージを改めたいと述べました。

発見者の一人、柳丈陽さんがX(旧Twitter)に投稿した内容には、「おめでとうございます」「新属の発見とはすばらしい」といった祝福の声が寄せられました。

また、「目が退化しているのですね」「リニア工事が地下水に影響を及ぼしている可能性もあるのでは」といった、生態の特性や環境への影響に関心を示すコメントも見られました。

Text by 本間才子