世界3例目で134年ぶり 鳥羽水族館で発見されたイソギンチャク
画像はイメージ(Kitty Terwolbeck / Flickr )
三重県・鳥羽水族館で、わずか数ミリの超小型イソギンチャクが新属新種として記載されました。
【画像】世界で見ても「3例目」鳥羽水族館が報告したイソギンチャク
この成果は、学術誌『Zoological Science』に掲載されています。
珍しいイソギンチャクを発見
発見を主導したのは、福山大学海洋生物科学科の泉貴人講師らの研究グループです。
本種は鳥羽水族館の水槽で飼育されていた個体を調査する中で見出され、熊野灘沖で採集されたことが分かりました。
体長はわずか7〜8㎜。
形態およびDNAの解析から、既知の2属とは異なる特徴を持つことが明らかとなり、新属「ネオテナクティス(Neotenactis)」として記載されました。
ムカシギンチャク科は19世紀に記載された2種のみが知られており、それ以来一切の新種が報告されていませんでした。
本種は134年ぶりの新種・新属として、同科の分類学に大きな進展をもたらす成果です。
また、世界では3例目で本科の北西太平洋での発見例はこれが初となります。
本種の学名「ネオテナクティス・アマテラス(Neotenactis amateras)」は、幼形成熟(ネオテニー)を意味する「ネオテナクティス」と、伊勢神宮に祀られる天照大御神「アマテラス」にちなみ命名されました。
注目すべきはその形態。
この新種は、ムカシギンチャク科に特有のシンプルな構造と、通常のイソギンチャクに見られる特徴をあわせ持っており、両者の中間的な姿をしています。
こうした特徴は、「子供の形のまま成体になる」という幼形成熟(ネオテニー)の進化を裏づける手がかりと考えられています。
そのため、和名の「ゲンシカイキ(原始回帰)」には、進化の結果“昔の姿に見える”という本種の特徴を表す意味が込められています。
この発見に対しネット上では、「おめでとうございます」「素晴らしい発見です」といった称賛の声に加え、「ポケモンに出てきそう」「学名のセンスがすごい」といった命名への驚きのコメントも寄せられていました。




