ラオスで1個体のメスだけ確認されていた昆虫 オスも初確認
画像はイメージ(gailhampshire / Flickr )
中国南西部の貴州省で採集されたヨコバイの一種「ルアンガナ・ステラータ(Louangana stellata)」について、雄の形態が初めて記載されました。
この成果は、国際学術誌『Zookeys』に掲載されています。
ヨコバイの一種の生態を初確認
ルアンガナ・ステラータは、かつてラオスで1個体のみメスが記録されていた非常に珍しい昆虫で、植物の汁を吸って生きるヨコバイ科に属しています。
これまでその雄の存在や形態は一切不明でしたが、今回、中国・貴州省の複数地点で雄が採集され、形態の詳細が初めて明らかにされました。
研究によると、雄は顔の下部が大きく広がった独特な構造で、これは湿った土壌からミネラルなどを吸収する「泥吸い行動」に関係している可能性があるとのこと。
また、体色は濃い茶褐色で、前翅の一部に透明な白い斑が見られます。
頭部には星形の黄色い模様があり、これはメスにより顕著に現れることも分かりました。
翅の形や脚の棘(とげ)の配列、生殖器の形状なども精密に記録され、とくに雄の交尾器には、他のヨコバイとは異なる複雑な構造が確認されたと報告されています。
また、本種の発見は、これまでラオスのみで知られていたルアンガナ属の分布が中国にまで広がることを示すもので、地理的にも新たな記録となりました。
標本はすべて貴州大学昆虫研究所に収蔵されているということです。
著者らは「雄の発見により、生殖器など複数の特徴的な構造が確認され、分類学的理解が大きく進展した」と述べており、今後は雲南省など周辺地域への分布拡大の可能性も含め、さらなる調査が期待されています。




