山梨の湧き水に新種カイミジンコ 全国に同一種分布、DNA解析で判明
画像はイメージ( Rob Cruickshank / Flickr )
山梨県北杜市の「女取湧水(めとりゆうすい)」で、新種のカイミジンコが発見されました。
【画像】湧き水の神秘、1,000km離れても同一種 山梨で見つかった新属新種の小さな甲殻類
この成果は、学術誌『Zoological Studies』に掲載されています。
山梨県で新種のカイミジンコ
発見を報告したのは、北海道大学大学院理学院の博士後期課程に在籍する宗像みずほ氏を中心とした研究グループで、同大学の角井敬知講師や葛西臨海水族園の田中隼人氏も共同で調査に携わりました。
報告された新種は、体長数ミリの小型甲殻類で、二枚貝のような殻を左右に持つことが特徴です。
形態観察の結果、既存のどの属にも分類できない独自の構造が確認され、新属新種「リッソスランデジア・フォンティコラ(Lissostrandesia fonticola)」として記載されました。
和名は「シミズヒラマルワカイミジンコ」とされています。
このカイミジンコは宗像氏の出身地でもある山梨県から初めて正式に報告されたもので、2019年から2024年にかけて実施された全国130か所の湧き水などでの調査を通じて得られました。
採集個体のDNA解析の結果、本種は湧き水にのみ生息し、わずかに下流へ移動した水域では確認されない湧き水固有種であることも明らかとなっています。
一方で、青森・北海道を含む複数の湧き水からも本種が検出され、COI遺伝子に基づく解析から、1,000km以上離れた湧き水同士でも遺伝的に同一の個体群が存在していることが確認されました。
これにより、形態的には区別できない複数種の可能性は否定され、単一種による広域分布が裏付けられました。
研究に携わった角井講師は、「湧き水は生活用水などの水源として私たち人間の生活にも深く関係していますが,今回の発見は,湧き水が生物多様性にとっても重要な場所であるということを再確認するものになりました」と、自身のnoteでコメントしています。




