1日探しても見つからない… フランス領ギアナで幻の陸生巻貝、新種ラッシュ!

画像はイメージ( fdecomite / Flickr

フランス領ギアナの熱帯林で実施された複数回の集中的な野外調査により、陸産貝類(陸生巻貝)の新種5種が発見されました。

【画像】調査難航の熱帯林で一大発見!仏領ギアナに眠る“未記載種”

これらの標本は仏国立自然史博物館に収蔵されたもので、学術誌『Zookeys(ズーキーズ)』にて正式に発表されています。

ギアナで新種の陸産貝類

今回記載された新種は、アデロポマ・クァジモド(Adelopoma quasimodo)、リリオコンカ・ガルバオ(Lilloiconcha galbao)、プロトグリプトゥス・ベルニコラエ(Protoglyptus bernicolae)、プセウドスブリナ・サンティ(Pseudosubulina santi)、およびハッピア・デカエンシイ(Happia decaensi)の5種です。

さらに、リロコヌス・プラギオプテュカ(Lyroconus plagioptycha)、プピソマ・マクネイリイ(Pupisoma macneilli)、ストロビロプス・モーセイ(Strobilops morsei)の3種が仏領ギアナで初めて確認され、加えて外来種ディプロソレノデス・オクシデンタリス(Diplosolenodes occidentalis)の分布も新たに報告されました。

これにより、同地域で初記録となる陸産貝類の科は4つ追加されました。

仏領ギアナは地形的に険しく、調査の難しい地域。陸産貝類は非常に見つけにくく、丸一日探しても1個も見つからないことがあるほど。

1980年時点で記録されていたのは52種。

今回の調査で81種に増え、そのうち13種は外来または由来不明とのことです。

調査では、落ち葉層をふるいにかける手法により、これまで見落とされてきた微小な種の存在が明らかとなりました。

とりわけ、殻が半透明で体色が黄色や桃色、紫色のスコロドントゥス科の一群は、少なくとも15種が未記載種であると見られています。

また、プセウドスブリナ・サンティのように、比較的目立つ1㎝大の新種が人里近くのバナナ園で発見されました。

貝の種類を詳しく調べるためのDNAの配列情報も収集され、29種類・126個体から遺伝情報が得られました。

しかし、南米の貝については比べるためのデータがまだ少なく、詳しい分類には至っていません。

今後は、さらに生きた個体を集めて調べることで、貝の種類や関係性がよりはっきりしてくると期待されています。

今回記載された新種の中で最も古い標本は、1997年に採集されたものであり、正式な発表までに27年を要しました。

多様性の高い分類群においては、今後迅速に種を記載・分類する「ターボ分類学」の導入が強く求められていると指摘されています。

ネット上では、「素晴らしい」「タンザニアでもやってほしい」との声も。

また専門家でなくての新種の発見に貢献できるとしてSNSへの写真投稿を推奨するコメントも見られました。

Text by 本間才子