「ジェイド」「アピアピ」は本物だった! ベタ新種、正式に学術誌で認定
画像はイメージ(CCAC North Library / Flickr )
インドネシア・スマトラ島で、新種のベタ(闘魚)が2種発見されました。
【画像】人気観賞魚ベタ、実はまだ進化中?スマトラ島で新種「ベタ・イアスピス」「ムルヤディイ」
研究成果は、国際学術誌『ZooKeys』に掲載されています。
インドネシアで新種のベタ
調査を行ったのは、中国やインドネシアの研究者による国際チーム。
東南アジアに広く分布する「ベタ・コッキーナ複合種(Betta coccina complex)」に属する個体群について、形態と遺伝子の両面から再評価を行いました。
このグループは、主に赤い体色をもつ小型の淡水魚で、観賞魚としても知られています。
特にベタは、オス同士が激しく争う性質から「闘魚(ファイティング・フィッシュ)」とも呼ばれ、美しいひれや色彩の多様性から世界中のアクアリウム愛好家に親しまれています。
今回の研究では、体の形状やひれの色、鱗の配列といった形態的特徴に加え、ミトコンドリアDNAの系統解析を実施。
その結果、スマトラ島から「ベタ・イアスピス(Betta iaspis)」と「ベタ・ムルヤディイ(Betta mulyadii)」という2種が新種として記載されました。
ベタ・イアスピスは、後方に赤い斑点をもつ黒い臀(しり)びれが特徴で、「ジェイド」として以前から知られていた系統です。
一方、ベタ・ムルヤディイは、全身が赤く斑点がなく、背びれの下に5〜6枚の鱗を持つ点で他種と区別され、「アピアピ」としてペット魚の愛好家の間で知られていた系統に相当します。
研究チームは、ビンタン島に分布する別の個体群「ベタ・ミニオピンナ(Betta miniopinna)」についても再検討を行い、独立した種ではなく、「ベタ・ペルセフォネ(Betta persephone)」の地域個体群と判断しました。
DNA解析の結果、現在のマラッカ海峡による地理的な隔たりだけでは、これらの魚が別の種に分かれた理由や分布の違いを十分に説明できないことが分かりました。
代わりに、最終氷期より前のプレイストセン時代に起きた海面の変化や陸地のつながりといった地形の変動が、種の多様化に関係していた可能性があると考えられています。
この発見に対してSNS上ではさまざまな反応が寄せられており、「“ジェイド”や“アピアピ”の名前のままでよかったのに」「ムルヤディって有名になりたいだけ?(実際は研究者にちなんだ命名)」といったユーモラスな声も見られました。
さらに、「彼らの生息環境をしっかり守ることが大切です」と自然保護を訴える意見や、「ベタにもまた新種が出たのか。毎年いろいろ発見されるなあ」といった驚きの声も寄せられています。




