湖池屋のロングセラー商品「スコーン」は、1987年の発売以来、コーンスナックとして独自の立ち位置を築いてきました。

【動画】湖池屋のスコーン内容量現在とこれまで

濃厚な味付けと、太さにムラのある独特の形状、そしてカリッとした食感は、他のスナック菓子とは一線を画す存在でした。

スコーンはステルス値上げしてる？

とくにポテトチップスに比べて価格が手頃で内容量が多かったため、消費者にとって「安くて満足感のあるスナック」という評価を長年得てきました。

やがてスナック市場を取り巻く環境が大きく変わる中で、スコーンにも見直しが求められるようになります。

2019年2月、湖池屋は「スコーン史上初の全面刷新」と銘打ち、大規模なリニューアルを実施したのです。

この際、価格は120円に引き上げられ、内容量は80gから75gに減少。

従来の品質を保ちながら新しい食感や風味を追求するための改良でもあり、製品コンセプトの転換点とも言える出来事でした。

続く2022年3月には発売35周年を機に再びリニューアルが行われます。

このときは内容量が78gへとやや増量される一方で、価格は税込130円へと改定。

さらに2023年には価格が140円に、そして2024年10月には内容量を73gへと調整しつつ、価格は税込150円へと再度改定されます。

こうした改定は、いずれも公式プレスリリースにて発表されており、企業として公に通知されたものです。

上記の変更について、インターネット上では「ステルス値上げではないか」とする声も見られます。

企業が消費者に気づかれないように価格を引き上げる意図があるのではないか、という疑念です。

これに対し、湖池屋はNewSphereの取材に回答。

原材料費・人件費・輸送費などのコスト増加が背景にあり、価格改定や内容量の変更は、商品ごとに売り場状況や販売チャネルを加味して総合的に判断していると説明しています。

あくまで「こっそり」ではなく、必要な対応として公に行っている措置であることを強調しました。

現在の「スコーン」は、単に濃い味を売りにしたスナックではなく、若年層を意識した食感の軽やかさや、素材本来のうま味を活かした味設計へと進化しています。

たとえば「とろけるクアトロチーズ」では複数のチーズを使用し、奥行きのあるコクを演出。

「やみつきバーベキュー」では肉の旨みがしっかり感じられるように調整されています。

また、健康志向にも配慮した食塩オフ商品などもラインナップに加わり、ブランドとしての幅を広げている最中です。

湖池屋の「スコーン」は、激しく変化する市場や社会環境の中で、単なるお菓子以上の価値を求められるようになっています。

その中で、品質維持と企業の持続可能性を両立させながら、消費者との対話を大切にしている姿勢は評価されるべき点と言えるでしょう。

これからの時代、「安さ」だけではなく「納得感」や「信頼感」が選ばれる基準となる中で、スコーンが今後もロングセラーであり続けることができるかどうかは、その姿勢が変わらず保たれるかにかかっているのかもしれません。