見逃されがちだけど超重要! 新種ヤスデが教える“森の健康”の真実
画像はイメージ(David Smith / Flickr )
インドの西ガーツ山脈に位置するマハーラーシュトラ州カラードとケーララ州で、それぞれ新種のヤスデが発見されました。
この成果は、学術誌『Zootaxa』に掲載されています。
インドで新種のヤスデ2種
見つかったのは、「ポリドレパナム・クシポスム(Polydrepanum xiphosum)」と「ポリドレパナム・スピナートゥム(Polydrepanum spinatum)」という2種で、いずれもインド固有のヤスデ属に分類されます。
この2種は、ヤスデ類の中でもパラドクソソマチダエ科に属し、特に西ガーツ山脈のような湿潤な森林環境で多く見られるグループです。
ポリドレパナム属に属する現存種は、今回の発見を含めて6種となり、すべてが西ガーツ地域にしか生息していない固有種であることが明らかになりました。
今回見つかったヤスデは、どちらもユニークな特徴を持っています。
クシポスムは、生殖器にある突起の形がこれまでの種と違います。スピナートゥムは、脚に突起がなく、外側に4本の棘(とげ)が並ぶのがポイントです。
こうした違いが、新種の決め手となりました。
インド国内で確認されているヤスデの種数は現在270種を超えており、そのうち約70%以上がインド固有種です。
とくに湿度の高い森林が広がる西ガーツや東ガーツは、ヤスデの多様性が高いことで知られており、今回の発見もそれを裏づける新たな一例となりました。
ヤスデは、落ち葉などの分解に直接かかわる割合は一部にすぎないものの、その活動が微生物の働きを促進し、最終的に森林の分解サイクル全体に大きな影響を与えているとされています。
今回の発見は、こうした目立たない生き物の存在が、実は生態系の根幹を支えていることをあらためて示すものとなりました。




