「異なる4種が同時に見つかるのは非常に稀」 熱帯雨林で新種のエアープランツ発見

画像はイメージ(Flicker/ Michael Gaylard

南米の熱帯雨林で新種のエアープランツ(着生植物)4種が新たに発見されました。

【画像】「非常に稀」新種のエアープランツ

名前には研究や保存活動に貢献した人物への敬意が

米フロリダ州のマリー・セルビー植物園に所属する植物学者ジョン・クラーク博士が、15年にわたる調査の末に発表したものです。

この成果は、学術出版社『Pensoft Publishers』が運営するサイトにて公開されています。

発見されたのは、イワタバコ科ドリモニア属(Drymonia)の植物で、いずれも「エアープランツ」に分類されます。

エアープランツとは、土を使わず空気中の水分を吸って育つ植物の総称で、赤く色づく葉が特徴のチランジア・イオナンタや、通称スパニッシュモスとして知られるチランジア・ウスネオイデスなどが園芸植物として人気です。

クラーク博士によると、「赤い花や、白地に赤い筋の入った花を咲かせる種もあり、どれも美しい。大きな苞(ほう)葉を持っているのが特徴」だといいます。

これらの植物の研究は、博士が以前在籍していたアラバマ大学で15年前に始まりました。

長年にわたり標本を比較・分析し、マリー・セルビー植物園での2年間で新種として確認され、今回の発表に至りました。

博士は、「新種を見つけること自体は珍しくないが、ここまで似ていながら異なる4種が一度に見つかるのは非常に稀」と「 FOX 13」に明かしています。

発見された植物はいずれも南米熱帯雨林というかけがえのない生態系に生息しており、この地域の生物多様性の豊かさを改めて証明する結果となりました。

命名にあたっては、それぞれ研究や教育、植物の保存活動に貢献した人物への敬意が込められています。

例えば、「ドリモニア・ロミニエッキエ(Drymonia rominieckiae)」は、セルビー植物園の代表であるジェニファー・ロミニエッキ氏にちなみ命名されました。

このほか、プリンストン・ジュニアスクール校長で教育者として博士を支えたシルバナ・ナッツァロ・クラーク氏にちなんだ「ドリモニア・シルバナエ(Drymonia silvanae)」。

イワタバコ科の分類研究に生涯を捧げた園芸家ジーン・カッツェンスタイン氏に由来する「ドリモニア・カッツェンスタイニエ(Drymonia katzensteiniae)」、そして同属植物の体系的理解に大きく寄与したコロンビアの植物学者ラウラ・クラビホ・ロメロ博士にちなんだ「ドリモニア・クラビホアエ(Drymonia clavijoae)」がそれぞれ命名されています。

「現地で実際にこの植物たちを観察し、植物園の収蔵コレクションを活用しながら広く知見を発信していくことこそが、私たちの使命。今回の発見もまさにその積み重ねの成果」とクラーク博士は述べています。

クラーク博士のInstagramには、「内面も外見も美しい人への、心からの素敵なオマージュだね」「美しい」「すごい発見だね、リスペクト!」といったコメントが寄せられ、命名に込められた敬意や感謝の思いに、多くの人が共感を寄せていました。

Text by 本間才子