“幻”のネズミの撮影に世界で初めて成功! 「宝くじに当たるような出来事」

画像はイメージ(Flicker/ Eli Duke

チェコの若手研究者が、1989年の発見以来、幻とされてきた「亜高山性ケナガネズミ(Mallomys istapantap)」の野生での撮影に世界で初めて成功しました。

【画像】35年ぶりに目撃された世界最大級のネズミ

Live Scienceなどが伝えています。

世界最大級の幻のネズミの撮影に成功

科学誌「Mammalia」に掲載された論文によると、35年ぶりにカメラの前に姿を現したのは、世界最大級のげっ歯類とされる「亜高山性ケナガネズミ(学名:Mallomys istapantap)」。

パプアニューギニアの標高3,200~3,700m地帯に生息する生き物です。

チェコ科学アカデミー生物学センターの博士課程学生フランティシェク・ヴェイメルカ氏は、パプアニューギニア最高峰ウィルヘルム山で6ヶ月間の調査を実施。

現地の先住民ハンターの協力を得て、カメラトラップと夜間調査により、この謎に包まれた巨大ネズミの撮影に成功しました。

亜高山性ケナガネズミは1989年に博物館の標本から初めて記載されましたが、その後30年以上にわたって野生での目撃例がなく、生態や行動についてほとんど知られていませんでした。

今回の発見により、雄の成体5匹の詳細な計測データが初めて記録され、体重は995g~1.5kgの範囲であることが判明。

この夜行性の動物は猫ほどの大きさで、霧深い高山帯の冷涼な環境に適応し、その巨大な体躯と厚い毛皮が特徴的です。

同誌で、ヴェイメルカ氏は「これほど大型で特徴的な動物が、これまで十分に研究されてこなかったことは驚くべきことです」とコメントしています。

今回の発見は動物学界にとって宝くじに当たるような出来事とされ、生物多様性研究の新たな扉を開く重要な成果となったようです。

Text by 都築ミロ