謎多き新種クラゲ「トンボダマクラゲ」初の国内記録 食事方法も不明
画像はイメージ(Flicker/ Pedro Szekely )
沖縄県の糸満沖および久米島沖で、新種のクラゲが発見されました。
【画像】沖縄の海で“ガラス玉”のようなクラゲ発見 新種「シライトトンボダマクラゲ」
この発見は、学術誌『Plankton & Benthos Research』に掲載されています。
沖縄で国内初記録のクラゲ
調査を行ったのは、黒潮生物研究所、峯水写真事務所、九十九島水族館海きららによる共同研究チーム。
研究チームは、2018年から2022年にかけて沖縄近海で集めたクラゲの標本を詳しく調べた結果、これまで知られていなかった新種であることを突き止めました。
このクラゲには「Tregouboviopsis gemmula(トレゴーボヴィオプシス・ジェミュラ)」という学名を与え、和名を「シライトトンボダマクラゲ」と命名しました。
学名・和名に共通するのは、その透明感と宝石のような繊細さです。
和名は、白い筋をまとったガラス玉のような傘の姿から「白糸」+「トンボ玉」に由来し、種小名「gemmula」はラテン語で「宝石」を意味します。
この新種は、傘の直径が約5mmと小さく、球形の透明な傘に、白い筋状の刺胞列が頂部まで走っているのが特徴。
触手などの捕食器官を持たないため、どのように餌をとっているのかは分かっていません。
あわせて、研究チームは過去に静岡県大瀬崎および長崎県佐世保市で採集された標本の再分析も実施。
その結果、中国近海で知られていたクラゲ「Tregouboviopsis perradialis(トレゴーボヴィオプシス・パーラディアリス)」と一致することが分かり、こちらには和名「トンボダマクラゲ」が与えられました。日本近海での発見は初めてのことです。
トンボダマクラゲも5〜7mm程度と小型で、透明な傘と白い筋模様という点でシライトトンボダマクラゲとよく似ています。
一方で、傘の筋が縁までしか届かない点や、口の周囲に4本の口触手を持つ点など、いくつかの形態的な違いにより識別できます。
いずれの種も、誕生や成長過程さらに、餌をとっているのかなど、多くが不明のままです。
研究チームは引き続き調査を進め、その生態の解明や飼育繁殖につなげたいとしています。
この発見にネット上では、「ロマンを感じます」「ダブルウォールグラスに似てるよね」「ネーミングのセンスがいいね」といった声が寄せられていました。




