見た目は「なんとなく」既知種でも中身は別モノ! カンボジアで小さな新種ヤモリ確認
画像はイメージ(Flicker/ Ozzy Delaney )
カンボジア北東部のメコン川流域で、新種のヤモリが発見されました。
この発見は、国際学術誌『Zootaxa』に掲載されました。
新種のヤモリ
調査を行ったのは、野生動物の多様性調査に取り組む国際研究グループ「Biodiversity Inventory for Conservation」。
彼らは2018年と2022年に、カンボジア・クラチェ州の野生動物保護区および沖合の島で現地調査を実施しました。
その際、既知のヤモリの種に“なんとなく”似た個体を複数確認。
研究チームはそれらが未記載の新種であると結論づけ、「Dixonius sambhupura(ディクソニウス・サンブプラ)」と命名しました。
属名「ディクソニウス」は東南アジアに分布する小型のヤモリ属に共通し、種小名「サンブプラ」は、発見地近くの歴史的地名に由来しています。
成体の体長は約5センチほどと、親指ほどの小さなヤモリです。
細身で、顔の先は短く、くっきりとしたしま模様の入った唇が目立ちます。
葉のように広がる平たい指先と、先端にあるしっかりしたツメも特徴的です。
背中には小さなイボ状の隆起が14〜16列に並び、おなかには24〜27列のウロコが確認されています。
また、オスの個体には、おしり付近に6つの小さな穴(総排泄孔)が並び、性別や種を見分ける手がかりになります。
研究チームはこのヤモリの頭骨をCTスキャンで分析し、DNA系統解析もあわせて実施しました。その結果、既存の19種とは明確に区別されることが裏付けられました。
この新種は現地では農地や低木などで夜間によく見られ、環境への順応性が高いことから絶滅種の危険性は低いとのこと。
見た目の類似性は明らかに「表面的なもの」であり、精密な調査の重要性を示す発見となりました。




