「伝説の深海魚」ペリカンアンコウが海面近くに出現 世界初の撮影成功か

画像はイメージ(Flicker/ Murray Barnes

スペイン領カナリア諸島のテネリフェ島沖で、深海魚「ペリカンアンコウ(学名:Melanocetus johnsonii)」が海面近くを泳いでいる姿が確認されました。

【動画】幻の深海魚・ペリカンアンコウが浅瀬に出現 

National Geographic』などが伝えています。

伝説の深海魚の撮影に成功

この現象は非常に珍しく、科学者たちにとって大きな驚きとなっています。

ペリカンアンコウは、クロアンコウ科に属する深海魚で、通常は水深200〜2000mの暗闇の中で生活しています。その特徴的な外見から「ブラックシーデビル」や「悪魔の魚」とも呼ばれています。

頭部には発光する触手(エスカ)を持ち、これを使って獲物を引き寄せる狩猟方法をとります。

今回の発見は、テネリフェ島の海岸からわずか2kmの沖合で、海面近くを泳ぐペリカンアンコウの姿が確認されたものです。

これまで生きた個体が海面近くで観察された記録はほとんどなく、科学者たちはその理由を解明しようとしています。

考えられる原因としては以下のようなものがあります:

病気や老化による異常行動:何らかの疾患や加齢によって方向感覚を失い、誤って浅瀬まで浮上した可能性。

海洋環境の変化:エルニーニョ現象や海流の変化など、深海からの強い海流や異常気象が影響した可能性。

捕食者からの逃避:天敵から逃れるために海面近くまで泳いできた可能性。

発見された個体はすでに衰弱しており、数時間後に死亡が確認されました。

その後、遺体はサンタ・クルス・デ・テネリフェの自然考古学博物館に運ばれ、詳細な研究が行われています。

Text by 浅田 一