マラリア対策に警鐘 東アフリカで未確認の蚊

画像はイメージ(Flicker/ Mahela Munasinghe

東アフリカ沿岸で、マラリア対策の見直しに影響を与える可能性のある新たな蚊の種が見つかりました。

【画像】「殺虫剤が効かない?」新種の蚊

この研究成果は、査読付きの科学誌「Molecular Ecology」に掲載されました。

東アフリカで新種の蚊

調査を主導したのは、イギリスのグラスゴー大学、ウェルカム・サンガー研究所、そしてタンザニアのイファカラ保健研究所の国際共同研究チームです。

発見された蚊は、「プワニ分子型(Pwani molecular form)」と呼ばれ、世界で最も重要なマラリア媒介蚊のグループ「ハマダラカ複合体」に属することが確認されました。

調査対象となった約300匹の蚊のうち、この新種はこれまで知られていなかったもの。

タンザニアおよびケニアの沿岸部に局地的に分布していることが明らかになりました。

研究チームによると特に注目すべきは、この新しい蚊には他のマラリアをうつす蚊によく見られる「殺虫剤に強くなるための遺伝子」が見つからなかった点です。

そのため、この蚊が別の方法で耐性を持っているか、あるいは殺虫剤に弱い可能性があると考えられています。

主執筆者であるグラスゴー大学とイファカラ研究所のソフィア・ムウィニさんは、「この発見は、マラリア流行地における蚊の多様性のギャップを埋めるものです」とコメントしています。

乾季でもこの蚊が感染を広げている可能性があり、マラリアが減らない要因の一つだと研究チームは見ています。

マラリアは依然として年間60万人近い命を奪い続けており、その予防と制圧には化学殺虫剤の使用が有効とされています。

プワニ分子型が実際にどの程度マラリアの感染に関わっているのかは、まだ明らかではありませんが、今後の研究によってその役割や対策法がさらに詳しく解明されていくことが期待されています。

この発見に対しては、ネット上で「マラリア対策を見直す必要がありそう」「今後の調査結果に注目したい」といった関心の声も上がっています。

Text by 本間才子