「電気を通すバクテリア?」  環境浄化にも期待の新種の“超能力微生物”

画像はイメージ(Flicker/ Radiona Zagreb Makerspace

アメリカ・オレゴン州の干潟で採取された泥の中から、“電気を通す”という驚きの能力をもつ新種のバクテリアが発見され、学術界で話題となっています。

【動画】微生物が電気を運ぶ?  オレゴン州の泥から見つかった驚きの新種バクテリア

この発見は、学術誌『Applied and Environmental Microbiology』に掲載されました。

新種のバクテリア

発見者は、当時オレゴン州立大学の博士研究員だったチェン・リーさんとOSU地球海洋大気科学部の特別名誉教授であるクレア・ライマーズさん。

オレゴン中部のヤキーナ湾河口域で、潮間帯の泥を採取していた際に、通常とは異なる構造をもつ微生物を見つけました。

このバクテリアは、細長い棒状の細胞が連なっており、全体で数センチに及ぶ糸状の構造を形成。

外側には盛り上がった溝があり、その中にはニッケルを含む高伝導性の繊維が確認されました。

研究チームはDNA解析と形態観察を行い、このバクテリアが既存のどの種にも該当しないことを突き止めました。

また、特殊な構造により、地中深くの硫化物から電子を取り出し、表層の酸素や硝酸塩に電気的な橋渡しを行う能力があることもわかりました。

この発見を受け、研究チームはこの新種に「カンジダトゥス・エレクトロスリックス・ヤコネンシス」という学名を命名。

種小名にあたる「yaqonensis(ヤコネンシス)」は、発見地であるヤキーナ湾に縁のある先住民族「ヤコナ族(Yaqona)」に由来します。命名にあたっては、ヤコナの末裔である「スィレッツ族」との協議も行われたそうです。

このバクテリアは、電子を用いて汚染物質を分解する性質があり、将来的には環境浄化やバイオエレクトロニクスへの応用も期待されています。

この新しいバクテリアの発見に世間では、「これはとても興味深い発見だ」「こんな手間のかかる電線の作り方、ちょっと贅沢すぎじゃない?」「普通に銅やガラスで電線作れるのに、なんでわざわざバクテリアを使うのかな」といったさまざまな反応が寄せられています。

Text by 本間才子