現代アリには存在しない「地獄アリ」 石灰岩から新属新種を発見
画像はイメージ(Flicker/ Denis Mihailov)
ブラジル北東部で、約1億1300万年前(白亜紀前期)に生息していた新種の絶滅アリの化石が発見されました。
【画像】まるでSFの世界…頭に角、上向きの大アゴ「地獄アリ」
この成果は、学術誌「Current Biology」に掲載されています。
現代のアリには見られない特殊な構造
発見されたのは、「ヴァルカニドリス・クラテンシス」と名付けられた新属・新種の絶滅アリ。
地球上で最も古いハイドミルメクス亜科、通称ヘルアント(地獄アリ)の一種とされています。
このグループのアリは、頭部の前方に角のような突起と上向きにカーブした大アゴを持ち、獲物を頭とアゴで挟み込んで捕らえるという、現代のアリには見られない特殊な狩りの構造をもっていました。
属名「ヴァルカニドリス(Vulcanidris)」は、クラト累層から重要な化石標本を収集したマリア・アパレシーダ・ヴルカーノ氏と、その家族であるヴルカーノ家への敬意を表して命名されました。
彼女の名を冠したこの化石コレクションは、近年サンパウロ大学動物学博物館(MZSP)に寄贈されています。
また属名の接尾辞「イドリス(idris)」は、ギリシャ語で「先見の明のある者」を意味する語であり、アリ類の属名において一般的に用いられる伝統的な表現です。
今回の化石は、これまで知られていた琥珀に閉じ込められた地獄アリとは異なり、石灰岩に刻まれた印象化石(石化した痕跡)として保存されたため、状態は良好でした。
さらにマイクロCT解析により、ヴァルカニドリス・クラテンシスがビルマ琥珀から知られる地獄アリと近縁であることが判明。
白亜紀の時点でアリが地球上に広く分布し、陸地間を移動していた可能性が示されたということです。
この発見にネット上では、「新しい支配者たちですね。歓迎です」「『地獄アリ』ってネーミングは驚きですね」「神秘的な時間が流れています」といった声が寄せられていました。




