日本で100年ぶりの快挙 地中で生活する新種の植物
画像はイメージ(Flicker/ rmounce)
鹿児島県・大隅半島の自然林で、国内で約100年ぶりとなる新属の報告がなされました。
この研究成果は、日本植物学会が発行する英文学術誌「Journal of Plant Research」に掲載されています。
地表に現れるのは開花の期間のみ
このたび発見された新種は、希少植物「ムジナノショクダイ(レリクティシミア・キモツキエンシス)」。
ムジナノショクダイは、地下で菌類から栄養を得て生活する「菌従属栄養植物」の一種です。
葉緑素を持たないため光合成は行わず、地表に現れるのは開花期のみ。
名前は地中に棲むムジナ(アナグマ)に由来しており、外見は植物というよりキノコに近く、半透明の小さな花を咲かせます。
このような特徴から「フェアリーランタン(妖精のランタン)」とも呼ばれ、希少な植物群に分類されます。
2022年に植物愛好家の中村康則氏が鹿児島県内で本種を発見し、神戸大学、京都大学、鹿児島大学の研究チームが共同で調査。
その結果、既存のどの属にも属さない新たな分類群であることが明らかとなり、新属・新種として記載されました。
この植物は菌類に依存して栄養を得ており、分布も非常に限られていることから、環境の変化に対して極めて脆弱だと考えられています。
研究チームの末次健司准教授は「今後は、この植物と共生する菌類との関係や、環境変化がその関係に与える影響について、生態学的な研究を進めていく」と話しています。
この新種の発見に対して世間では、「信じられない!」「『世界の被子植物科』にも載ってなかったよ」「なんて独特な形なんだ」といった驚きや興奮の声が上がっています。