遺跡で見つかった人骨 「謎の人類系統」であることが判明
画像はイメージ(Flicker/ The Swedish History Museum, Stockholm )
マックス・プランク進化人類学研究所が発表した声明によると、サハラに緑があった時代に生きていたとされる人類の存在が、2体の骨のDNA検査で明らかになりました。
遺跡から見つかった謎の骨
今では広大な砂漠として知られるサハラ地域ですが、約1万4,500年前から5,000年前までは、緑豊かな草原が広がる「緑のサハラ」時代でした。
この地域は湖や川があり、動物や人が暮らすには理想的な環境だったと推測されています。
研究者たちは、この時代に北アフリカで暮らしていた人々のDNAを調べることに成功。
人類の歴史への新たな発見となったのです。
調査の対象となったのは、現在のリビア南西部にある「タカルコリ岩陰遺跡」で見つかった、約7,000年前の2人の女性の骨。
DNA解析の結果、この2人の女性は約5万年前にサハラ以南のアフリカ人集団から分かれた、これまで知られていなかった独自の人類系統に属していたことが判明しました。
これまでは、緑のサハラがさまざまな地域の人々をつなぐ「交差点」のような場所だったと考えられていました。
しかし、今回の発見はそれに疑問を投げかけることに。
というのも、タカルコリの人々は遺伝的に他の地域の集団とはほとんど関係がなく、長期間にわたって孤立して暮らしていたことが解析されたためです。
また、石器や動物の骨の道具、編みかご、陶器、人形なども見つかっており、彼らが牧畜や日常生活の道具を工夫していたことも判明しています。
さらに、DNAには微量ながらネアンデルタール人の痕跡も含まれており、古代の人類同士の接触もあったのではないかと、研究者たちは推定しています。
この研究は北アフリカの古代人が非常に独自の進化を遂げていたことを示しており、人類の起源と広がりを考えるうえで、重要な手がかりになっているということです。