頭部と足、甲羅が無く裏返った新種の化石を発見 「何らかの手足を持った原始的な海洋節足動物」

画像はイメージ(Flicker/ Andrea Wright

25年前、恐竜がいた時代よりも前に生息していたとされる古生物の化石が発見されました。

【画像】頭部と足、甲羅が無い化石

その研究論文は、2025年3月26日付けの学術誌「Papers in Palaeontology」に掲載されています。

25年にわたり研究が続けられている化石

イギリス・レスター大学の古生物学者サラ・ガボット教授率いる研究チームは、25年前に南アフリカの小さな採石場で、変わった化石を発見。

それは、頭部と足、甲羅が無く裏返った古生物でした。

この新種の化石は後にKeurbos susanaeという名付けられましたが、ガボット教授の母親の名前にちなんで、「スー」という別の愛称でも呼ばれています。

スーの起源は、寒冷化と氷河の進出によって、海洋生物の85%近くが絶滅したオルドビス紀後期(4億4300万年前)にさかのぼるとされています。

つまり、恐竜がいた時代よりもずっと前に存在していた古生物なのです。

発見から25年間、調査チームは「スー」の研究を続けてきました。

スーが発見された地層は古代の海底に堆積したもので、酸素は低く、溶存している酸性の硫化水素が多い海の下にあったことがわかっています。

スーの筋肉や腱、内蔵は、非常に緻密に保存されており、何らかの手足を持った原始的な海洋節足動物であったことは確かなようです。

しかし現在、発見場所となった小さな採石場は、近年の砕石活動によってほとんど姿を消しています。

そのため、無傷の脚や頭部を持つ同じ種が見つかる可能性は低く、スーの正確な進化的関係については未だ解明ができていません。

今、ガボット教授たちは、スーの軟組織が堆積物(スーム頁岩)の中でどのように保存されているかを理解するために、継続して研究を続けているということです。

Text by 都築ミロ