砂漠から発掘された150万年前の手斧 30万年前の遺物も出土

画像はイメージ(Silar / Wikipedia Commons

ブリュッセル大学(VUB)の研究チームが、イラクの広大な砂漠で旧石器時代のものとみられる手斧や膨大な数の石器を発掘したと発表しました。

【画像】砂漠で見つかった150万年前の手斧

イラクの砂漠で発掘された150万年前の手斧

2024年後半、ベルギー・ブリュッセル自由大学(VUB)の考古学者たちは、パイロット・プロジェクトとして、イラクの西部に位置する砂漠地域の地形学的歴史の調査を始めました。

この調査は、旧石器時代の下・中期の遺物が出土した遺跡の保存可能性を評価するためのものでした。

VUBのプレスリリースによると、アル・シャバカ地方と呼ばれる砂漠地域には、更新世に広大な湖があったそうです。

その周辺と今は干上がった湖底には、ワディと呼ばれる古代の乾いた川床が縦横に走っており、そこから多くの遺物が出土しました。

発掘されたのは、150万年前にさかのぼる可能性のある下旧石器時代の手斧や、約30万年から5万年前の中旧石器時代のルヴァロワ技法を使った剥片(はくへん)など、850以上の遺物です。

研究者チームは、このプロジェクトで10kmから20kmの範囲に7つの旧石器時代の遺跡を発見しました。

調査結果は、イラクのカルバラで開催された学会での学際的な集まりや、ナジャフの作家組合での公開イベントなど、さまざまな聴衆に発表されています。

このプロジェクトは、英国イラク研究所から資金提供を受け、イギリスのレスター大学の名誉フェローシップを通じて研究者たちに授与されたもので、調査は継続されます。

発掘調査を進めていくことで、さらに古い時代の石器などの重要な発見が得られることを期待している研究者たち。

今後は、アラビア半島における人類の進化と行動をより深く理解するために、調査地域を拡大し、詳細な遺物分析を行う予定です。

Text by 都築ミロ