170年前の標本から11種の新種を発見 「傷んだ標本にも価値がある」
画像はイメージ(Florante A. Cruz/ Wikipedia Commons )
約170年前、博物学者アルフレッド・ラッセル・ウォレスが収集した古びた蛾の標本から、11の新種が発見されました。
この研究成果は、科学誌「Zookeys」に発表されています。
標本から発見した新種
ウォレスは進化論の提唱者として知られ、ダーウィンと並ぶ重要な人物です。
今回発見された蛾は、ウォレスが1850年代に東南アジアのサラワク地方で収集したもので、長年忘れられていました。
研究者たちは、標本に付けられた「SAR」というラベルを手がかりに、ウォレスが収集したものだと特定。
このラベルは、ウォレスが多くの標本を集めたマレーシアのボルネオ島にあるサラワク州を示しています。
さらに、現代のDNA解析技術を駆使し、標本の小さな一部から多くの遺伝情報を得ることに成功しました。
この結果、蛾が属する「Topiris(トピリス)」というジャンルが再発見され、新たに11種の蛾がその属に分類されました。
その中には、「白雪姫」や「シンデレラ」にちなんだ名前が付けられた種もあります。
研究に携わったデイヴィッド・リーズ博士は自然史博物館に対し、「この発見は、現代のDNA解析が古い標本からも種の進化の歴史を明らかにする可能性を示しています」と語っています。
この発見に対して、ネット上では、同じ科学者から「昔の標本が現代の分類学において重要な役割を果たしていることを再認識」「傷んだ標本にも価値があり、適切な問いを投げかけることで新たな発見が生まれることを実感しました」といった感想が寄せられています。