個体数が9割減少していた絶滅危惧種のカエル 繁殖に成功し33匹の赤ちゃんが誕生

画像はイメージ(Ong ranita / Wikipedia Commons

チャールズ・ダーウィンが初めて見た絶滅危惧種のカエルが、絶滅回避のためにイギリスの救済プログラムで繁殖に成功しました。

【画像】繁殖に成功した絶滅危惧種のカエル

ロンドン動物園が発表しています。

絶滅危惧種のカエルの繁殖に成功

イギリスの有名な自然科学者チャールズ・ダーウィンによって、1800年初頭の航海の途中で発見されたダーウィンハナガエル(Rhinoderma darwinii)。

小さなおたまじゃくしをオスが口の中に入れて育てることで知られています。

現在、絶滅危惧種に指定されていますが、さらに事態を悪化させる出来事が2023年に発生しました。

このカエルの生息地である南米チリのチロエ島にあるタンタウコ公園でツボカビという真菌が蔓延し、個体数が90%も減ってしまったのです。

窮地を救うため、保護活動家たちは2024年10月、チリ沖の離島まで出向いて、カビに感染していない52匹の健康なカエルを回収。

特別設計の空調管理箱に入れられ、6時間の船旅と首都サンティアゴまで15時間の車移動を経て、最終フライトでイギリスに輸送されました。

そして今回、カエルの引っ越し先となったロンドン動物園は、繁殖プログラムの一環として33匹のダーウィンガエルが誕生したことを発表。

種の保護とその保全の課題に対する認識を高めることを目的とするこの繁殖プログラムで、今後さらにダーウィンガエルの個体数が増えるのを、動物園は期待しているとのこと。

ダーウィンガエルを絶滅から救うためにチリへ出向いた行程は、野生動物映画監督のポール・グリン氏によって記録され、YouTube「A Leap of Hope」で公開されています。

チリ南部で蔓延したツボカビ症は、現在少なくとも500種の両生類が罹患しており、科学が認めた最も壊滅的な感染症となっているということです。

Text by 都築ミロ