クモをゾンビ化させる新種の菌類 巣からおびき寄せてから拡散
画像はイメージ(Flicker/ tangi bertin )
昆虫などの生き物に寄生し、巧みに操る寄生虫。
カマキリに寄生し水に飛び込ませるハリガネムシや、アリを乗っ取り命令のままに動かすことができる菌類をご存知の方も多いでしょう。
このたびヨーロッパの科学者たちが、クモを巣からおびき寄せて胞子を付着させ、ゾンビ化して拡散させる新種の菌類を発見したことを「Fungal Systematics and Evolution」と題した研究で発表しました。
新種の菌類
研究によると、普段はアイルランド周辺の洞窟の奥でひっそりと暮らしているこれらのクモが死ぬ前に巣から離れ、天井や壁など露出した部分に出てきたといいます。
この菌の学名は「ギベルラ・アッテンボロギ」。
ギベルラ・アッテンボロギがクモの脳にどのような影響を与えるのか、その進化の過程や生態学的影響については未だ解明されていません。
また今のところ、ギベルラ・アッテンボロギはヨーロッパの洞窟に暮らす特定の2種類のクモにのみ寄生することが分かっています。
今回の発見について、科学者たちは「生き物を制御する菌類をより深く理解するための新たな機会を生み、まだ発見されていない菌類の多様性を明らかにした」と述べました。
またアメリカメディアのCNNによると研究には関わっていないものの、コーネル大学のクモ類感覚生態学の専門家で博士研究員のジェイ・スタフストロムさんは「菌類が何かに寄生し、動物の行動を変えてその拡散を助けることができるという事実はとても興味深い」と言及しています。
知られざる菌類の生態に、ネット上では「存在感は薄いのに恐ろしい」「身の回りにも意外と多くの寄生虫が存在しているのかも」「なんて巧みなんだ」「菌の生命力の強さを感じる」「カマキリやクモは強そうなのに、寄生虫には勝てない」といった反応が寄せられました。