水頭症を患っていたヒグマ 世界初の脳手術を受け成功

画像はイメージ(Flicker/ Daniel

イギリスの野生生物保護区にいるヒグマが、2024年10月に世界初となるクマの脳手術を受けました。

【動画】「世界初」脳手術を受けるヒグマのボキ

世界初の手術を受けたクマ

イギリス・ケント州にある野生生物保護区「ワイルドウッド・トラスト」に、ヒグマのボキが保護されたのは、2022年12月のことです。

当時、ぬいぐるみのように小さかったボキは、飼育員らの愛情とケアを受け元気に育ち、あっという間に大きくなりました。

ところが、2024年にボキが水頭症を患っていることが発覚。

ボキは発作が悪化して薬物療法では症状を抑えることができず、冬を乗り切るには手術が必要だと判断されました。

2024年10月9日、世界的に有名な獣医外科医の指導のもと、5時間に及ぶ先駆的な手術が行われました。

最先端の鍵穴手術で、ボキの脳と腹部の間にステントが慎重に装着され、余分な体液を排出することに成功したのです。

麻酔をかけられて眠るボキの側で、固唾を飲んで見守る飼育員たちの姿がありました。

ボキの手術が無事に成功すると、全員が涙ぐみながら喜んでいます。

手術後も、飼育員たちによるモニタリングが続けられました。

ボキの回復は順調で、冬眠から目が覚めた今も、とっても元気にしている様子。

「元通りの元気なボキになって走り回っています」

保護区の飼育員たちにとっての幸せは、世話をしているすべての野生生物たちが元気でいてくれること。

彼らは、ボキがこれからもますます元気で長生きしてくれることを心から願っています。

Text by 都築ミロ