見る角度によって顔の表情が変わる人形 「役割を意図的に強調するデザイン」
南米の国エルサルバドル西部のサン・イシドロ遺跡で、発掘調査にあたっていたポーランド・ワルシャワ大学の考古学者チームが、女性4体男性1体の計5体の人形を発見しました。
遺跡で発掘された特徴的な人形
イギリス・ケンブリッジ大学がまとめた学術誌「Antiquity」の内容によると、人形はピラミッドのような構造をした遺跡の頂上で発見され、約2400年前のものと考えられています。
また調査の筆頭者で考古学者のヤン・シマンスキさんは、この遺跡には他と違って人間の遺体が一つもなかったことから、人形は何かの儀式に使われていたと推測しています。
これらの最も特徴的な部分は、見る角度によって顔の表情が変わること。
上から見るとにやけている顔に、正面から見ると怒ったように変わり、下からでは怯えているように見えるといいます。
人形の大きさは3体が約30cmであるのに対し2体が10~18cmと小さく、裸で首を動かすことができるほか、顔や耳にはタトゥーやピアスのような装飾がされていました。
こうした特徴から、人形が演劇などに使用されたという説がある一方で、遺跡の別の場所では腹部が空洞になった人形も見つかっており、出産の儀式といった推測もなされています。
空洞にはそれらの人形がすっぽりと入る作りになっていて、真相は謎のままですが、シマンスキさんらは「神話や歴史上の出来事の儀式的パフォーマンスにおいて、人形の役割を意図的に強調するデザインだった」と考えています。
これまで遺跡周辺地域は非常に孤立していたと考えられており、今回の発見は古代の儀式と文化交流に新たな光をもたらしたようです。
ネット上では「演劇や安産祈願のために使われていたのかな」「そんな昔から儀式が存在していたんだね」「知られざる世界を紐解いていくのは大変だけど面白い」「興味深い発見」「他にも色んな物が見つかりそう」など、様々な反応が集まっています。