火山噴火で亡くなった遺体の脳からガラス破片 最新の研究で原因が判明 

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西暦79年に噴火した、イタリア・ポンペイのヴェスヴィオ山。

【動画】ヴェスヴィオ火山の噴火で人間の脳がガラスになったことが判明

火山灰雲は人間の脳をガラスに変えてしまうほど高温だったことが、最新の研究によって明らかになりました。

火山噴火で人間の脳がガラスに

79年、ヴェスヴィオ火山の大噴火で消滅した古代都市といえばポンペイが有名ですが、実はヘルクラネウムという古代都市もポンペイと同様、壊滅的な被害を受けました。

ヘルクラネウムで死亡した男性の頭蓋骨の遺体が発見されたのは1960年代のこと。

その後の頭蓋骨の調査で、男性の脳から黒っぽいガラスの破片が発見されたのです。

いったいどうしてこのようなことが起こるのでしょうか。

2025年2月27日付で掲載されたScientific Reportsの報告によると、調査を進めた研究者たちは、頭蓋骨がガラス化するには、急速に冷える前に510℃まで加熱される必要があることを突き止めました。

しかし、ヴェスヴィオ火山から噴出した火砕流(ガスやその他の火山物質の高速流)の温度は465℃以上には達しなかったことがわかっています。

研究を進めると、510℃にも達する非常に高温な火山灰雲が原因だった可能性が高いことが判明したのです。

同レポートによると、ガラスが形成されるには液体の物質が固体になる際に、結晶化しないよう極めて速く冷却されなければならないという特別な条件が必要なのだそう。

つまり、510℃以上に達した火山灰の雲が、遺体の脳組織を瞬時に液化させるとほぼ同時に冷却が急激に進んだことで、脳がガラス化したというわけです。

このような過程を経て、有機ガラス化した人間や動物の遺骨が発見された例は、世界でも非常に珍しいケースだとか。

既に多くの書物などで語られていますが、ヴェスヴィオ火山の噴火のすさまじさは想像を絶するものだったことでしょう。

この噴火によって完全に埋没したポンペイとヘルクラネウムでは、1,500人以上の遺骨が発見されたと伝えられていますが、死者の総数は今日に至るまで不明のままです。

Text by 都築ミロ