紀元前1000年頃にラップトップ? 大理石像の持つものに「嘘でしょ」

画像はイメージ(Flicker/ thrivingmom

「スマホがない時代にスマホを手にしている!」とSNSで注目を集めた写真や絵画がありますが、今回はラップトップのようなものを持っている古代ギリシャの芸術作品です。

【画像】ラップトップらしきものを手にしている古代ギリシャの彫像

ラップトップのようなものを手にする古代ギリシャの彫像

ラップトップは、1985年に東芝が欧州・米国向けに発売したT1100が世界で最初だとされています。

ところが、それよりも遥か昔にラップトップが存在していたかのような芸術作品が、SNS上でシェアされました。

それは、紀元前1000年頃に制作された1m弱の大理石像「Grave Naiskos of an Enthroned Woman with an Attendant」。

古代ギリシャの女性像が、まるでラップトップを開いているように見えます。

侍女らしき女性がラップトップを支えて持ち、もう一人の女性が2つの面を90度の角度で開いているようにも見えるこのレリーフ。

よく見るとそのラップトップらしき側面には2つの穴が開いています。

USBポートかヘッドフォンジャックに見えてきますね。

「すでにこの時代からラップトップが存在していたということは、古代ギリシャ人がタイムトラベルしてきたのでは!」という憶測がSNS上では飛び交いました。

しかし、Getty Collectionによると、女性が開けているのは古代ギリシャで葬儀に使われたシャドーボックスというもの。

シャドーボックスとは、箱型になったフレームで、中にクラフトなどの作品やジュエリーなどを収めることができます。

この像は、すにで亡くなっている女性が、侍女の持つシャドーボックスに手を伸ばす姿を表しているそうです。

USBのような穴については、「大理石の部品を固定するための2つの金属ピンの形で、古代の修理の証拠。

箱の薄さは、古代の芸術作品の多くがそうであるように、このレリーフが現実の写真描写としてではなく故人の富と地位を伝えるためのものであったことを示している」と記載されています。

残念ながら、この作品はタイムトラベルの可能性はないようですね。

Text by 都築ミロ