「同性婚を法的に認めるべきではない」 日本では反対が6%と最小

画像はイメージ(Flicker/ Lauren Anderson

近年、さまざまな国や地域で同性婚が法制化されるなど、LGBT+の人々の権利を巡る議論が活発化しています。

【画像】あなたの意見は?同性婚の是非を問うた調査結果

世界的な調査会社イプソスが発表した最新の調査結果では、この問題に対する各国の意識の違いが明らかになりました。

同性婚や法的承認についての日本の意見は?

この調査は2024年2月23日から3月8日にかけて、世界26カ国・地域から18,515人を対象に実施されました。

同性カップルの結婚や法的承認について、「許可されるべきではない」と強く反対する人の割合を各国で比較したところ、日本は6%と最も低い数値となりました。スペインと同率の6%です。

逆に、強い反対意見の割合が最も高かったのはトルコで、シンガポール、韓国と続きました。

アジア諸国やイスラム教が広く信仰されている国々で、同性愛に対する否定的な見方が根強いことがうかがえます。

同性婚の是非を問う質問に対し、日本人の間は「結婚を許可すべき」が42%、「結婚以外はすべき」が25%と、合わせて67%が許容する立場でした。

同性愛者の権利を一定程度は認める傾向が見られるものの、法制化には慎重な部分もあるようです。

また、LGBT+当事者による活動の公表や、メディアにおける同性愛キャラクターの起用など、LGBT+への理解を深める取り組みに対する支持度合いを見ると、日本人の意識は相対的に低い部分がありました。

このように、同性愛者への法的な権利付与そのものには日本は比較的寛容である一方で、LGBT+当事者の社会進出や企業によるサポートなどの実際の行動面では、まだ慎重な空気が残っているようです。

この背景には、日本がいまだに同性婚を法制化していない現実があると考えられます。

欧米諸国では、同性婚が一般化しているため、それに伴いLGBT+の社会進出が進んでいる状況です。

一方の日本ではその機会が限られており、認知の浸透に遅れが生じているのかもしれません。

実際、イプソスの内田代表は「法的に認められたLGBT+の婚姻カップルがいることが日常の欧米と異なり、日本は諸外国と比べ法整備が遅れています。そのことが、社会全体における関心や認知の拡大を妨げているのではないでしょうか」と指摘しています。

内田代表は続けて、「今後、LGBT+の人々が当然の権利を享受しながら社会活動を行い、日常生活を営むための法整備を含む環境整備が早急に行われることを期待しています」と述べ、法制化の必要性を訴えました。

ただし日本では、伝統的な性別観が根強く残る一方で、近年は男女平等の意識も着実に高まっています。

とりわけ若年層ではLGBT+に対する理解が進んでいると考えられ、世代間でギャップが生じつつある状態です。

今後、法制化の議論が進めば、企業活動の面でもLGBT+への理解は一気に広がっていく可能性があります。

LGBT+への企業の対応状況は近年注目されており、内外の人権意識の高まりを受けて、取り組みが加速する予想です。

一方で、これらの動きが社会の一部で逆風を受けるリスクもあり、慎重な対応が求められるでしょう。日本社会がLGBT+への理解をどう深めていくか、今後の議論の行方が注目されます。

Text by 菅山久志