パリの地下鉄で貼られているステッカー 書かれていた警告が広げた不信と憶測
私達の生活になくてはならない地下鉄。
そこに薬物の密売人がウロウロしてたら……なんて考えるとゾッとしますよね。しかし、これはパリの人達にとっては見慣れた光景のようです。
パリの地下鉄で目にするクラッカーの意味
パリの地下鉄にて「クラックゾーン」というstickerが貼られたことが話題になっています。
このステッカーが貼られている地下鉄7号線のスターリングラード駅とポルト・ド・ラ・ヴィレット駅は、「クラック」と呼ばれるコカインの売人や中毒者で溢れており、ステッカーは旅行者向けの警告を意図しています。
しかし、7号線の公式インフォメーションサイトによると、地下鉄を運営している「RATP」はこの件についてまだコメントを出しておらず、これらのポスターの実態は依然謎に包まれたままだといいます。
同サイトは、ネット上でステッカーに対する不信と憶測が広がっていると述べます。
特に注目すべきは、2024年パリ五輪に向けてパリのイメージへの影響を懸念する声です。
同サイトはこれらの駅を「クラックゾーン」と定義することに信憑性に疑念を示し、「このようなステッカーを貼ることは、スティグマ化を悪化させ、これらの地域に対する誇張されたマイナスイメージを作り出しかねない」と批判しました。
では、「クラックゾーン」の実態はどうなっているのでしょうか。
2024年2月9日時点での仏メディアドキュメントRMCの報道によると、スターリングラード駅では「クラックの売人と中毒者であふれかえり、 ホームや廊下を徘徊している」といいます。
毎日125人の警官によるパトロールが行われていますが、それも雀の涙程度の成果しか出ていないという惨状です。
元々クラック関係者の溜まり場であったスターリングラード広場はパリ五輪に向けて改修が決まったため、溜まり場が駅の中へと流れてきたのではないかと考えられています。
通勤でこの駅を使う市民によると、「まるで3日間寝ていないような、ゾンビのような、疲れ切ったような、ほとんど服を着ていない人もいる。中毒者はかなりの人数がいる」といいます。
さらに中毒者は取材スタッフに接触してくるなど、駅構内で堂々と行動している様子が伺えました。
パリ警察のローラン・ニュニェス警視総監はRMCの取材に対し、「クラック問題は大会前に解決する」と語りました。
「2022年には285人が逮捕された。 そして2023年には491になる。 人身売買と闘うことは重要です。 私たちはパリ北東部全域で、使用者を分散させ、医療サービスや福祉サービスが彼らの面倒を見られるようにするため、強力な存在感を示しています。 もはや警察の問題ではない」。
警察によるパトロールはオリンピック期間中に700人へと増員されるといいます。
現地の人ですら恐ろしいのに、知識も耐性もない観光客がクラック中毒者に囲まれてしまったらそれこそ大惨事になりかねません。
オリンピックまでにどのような改善がなされるのか、パリ警察及びRMCには引き続き詳しい情報を発信して欲しいですね。