外国人観光客に対し検討されている二重価格 すでに高額で導入されている海外観光地との差

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新型コロナウイルスの対策が緩和されると同時に、近年よく耳にするようになったのが「オーバーツーリズム問題」。

京都市内では観光客で市バスが溢れかえり、地元の市民が乗れない状況が続いているといいます。

ほかにも函館市では2023年、バス運転手が観光バスの方に回ってしまい、小学生たちが近隣校のプールに行けなくなり、全ての学校でプール授業が中止となっていました。

外国人観光客に対し海外で導入されている二重価格

これらの問題を解決すべく、政府は外国人観光客に対し施設の入場料を数倍にしたり、宿泊施設の価格を上げたりといった「二重価格」を検討しています。

では、世界の観光地はどうなっているのでしょうか?

中東のヨルダンにある、映画「インディ・ジョーンズ」でお馴染みのペトラ遺跡。

現地人が入場料1JD(約220円)なのに対し、外国人観光客には50倍となる50JD(約1万1,000円)を徴収しています。

またエジプトのピラミッドでは、エリア入場料が540EGP(約1,800円)、クフ王内部見学が900EGP(約3,000円)と記載されていますが、これらは地元民の9倍だそうです。

ほかにもフランスのモンサンミッシェルでは、25歳未満のEU市民の修道院への入場料が無料なのに対し、外国人には10ユーロ(約1,700円)、ルーブル美術館も同じく25歳未満のEU市民は無料ですが、外国人からは22ユーロ(約3,500円)を徴収しています。

ルーブル美術館は、その理由を「満足のいく質の高いサービスを維持し、また、コストの増加(エネルギーは88%増)に対応するため」だと説明しており、効果が期待されているようです。

またオーバーツーリズムにより環境破壊や景観を損なう危機にもさらされており、二重価格設定はそのリスクに政府や市が対処することにも繋がるのでしょう。

このように海外では当たり前となっている二重価格。

日本での導入に対し、世間からは「ぼったくりとの線引きが難しい」「差別になりかねない」といった反対の声がある一方で、「日本人が我慢を強いられて暮らさなければならないのはおかしい」「ホテル代が高すぎて旅行に行きたくても諦めていたから賛成」など、賛否両論を巻き起こしているようです。

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Text by 春野 なつ