DAISOで閉店を知らせてきたBGM「蛍の光」が変更 外国人をはじめ「わかりづらい」ことが理由

画像はイメージ(Flicker/ Guilhem Vellut

小売店舗の閉店時に長年使われてきた、「蛍の光」に代わる新しい閉店音楽が誕生しました。

【画像】DAISOで行われたBGMに関する調査結果

株式会社USEN、株式会社大創産業、早稲田大学マーケティング・コミュニケーション研究所の3者が共同で行った研究プロジェクトで、新曲「Good Day 〜閉店の音楽〜」が制作されたのです。

DAISOで流れてきた閉店BGMが変更

従来、多くの店舗で「蛍の光」が閉店時のBGMとして流されていましたが、外国人をはじめ「蛍の光=閉店」というイメージの結びつきが弱い層があることや、店員が直接顧客に声をかけづらい状況があり、課題とされてきました。

そこで新しい閉店音楽を作ることで、穏やかに閉店時間を知らせ、自発的に顧客に帰らせることを目指したのが背景です。

一連の研究ではまず予備調査として一般の人々150人を対象に、複数の音楽サンプルを聴かせて「ふさわしさ」と想起される印象語を調査。

その結果、閉店音楽に相応しい曲は「静か」「自然」「落ち着く」といった印象を与えることが分かりました。

次に、大創産業の「DAISO」店舗スタッフ657人を対象に、予備調査結果の妥当性を確かめる本調査を2022年7月に実施。

こうした調査結果を基に、新しい閉店曲「Good Day 〜閉店の音楽〜」が制作されたのでした。

さらに実際の店頭での効果を検証するため、複数の「DAISO」店舗をA群(営業中に流れるBGM)とB群(閉店5分前から新曲放送)に分け、閉店時のレジに並んでいた計102人の客に出口調査を行いました。

その結果、B群の新曲放送店舗の方が、「閉店にふさわしい」「好ましいBGM」という評価が高く、店舗評価の向上、顧客満足度と再来店意向の上昇の可能性が示されたのです。

研究を主導した早稲田大学の研究者らは、五感への刺激である「センサリー」の観点から、音楽が無意識下で消費者行動を喚起する効果に着目し本研究を行ったと説明しています。

今後は実際に店頭で新曲を導入し、閉店時の行動や来店への影響を追跡調査する予定です。

大創産業は6月11日より、国内の「DAISO」直営店約2,900店舗で「Good Day 〜閉店の音楽〜」の放送を開始しました。

店舗評価の向上と顧客満足度・リピート率の改善が期待されています。

Text by 菅山久志