存在感放ったミシェル・オバマ、なぜパンツスーツが注目を集めたのか? 米民主党大会

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 アメリカ大統領選に向け、8月19日から22日まで開催された民主党大会では、ハリス・ウォルズ陣営の応援演説にさまざまなビッグネームが登場。ミシェル、バラクのオバマ両氏の演説に注目が集まるなか、ミシェルが着用したユニークなパンツスーツも話題に。

◆盛り上がりを見せた民主党大会
 民主党全国大会(Democratic National Convention:DNC)は、民主党が大統領および副大統領の指名候補を選出する時に開く大会だが、今年に関しては異例の事態が続いた。当初は現職のバイデン大統領が事実上の指名候補であったが、6月のテレビ討論会での不安定なパフォーマンスを経て、7月21日に大統領選から撤退することを発表。同時にハリス副大統領を次期大統領候補として支持し、ほかの候補者もハリス支持を示したため、党大会開催前からハリスの指名が事実上決定していた。そして、今回の党大会にて民主党が指名する正式な大統領候補となり、アフリカ系(黒人)女性、またアジア系で初となった。

 シカゴで開催された4日間の党大会のイベントではさまざまな政治家やセレブが登場。初日のバイデン大統領の演説に始まり、AOCの愛称で知られるアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員や元国務長官のヒラリー・クリントンが登場。2日目はミシェル・オバマとバラク・オバマ元大統領、セカンド・ジェントルマンのダグラス・エムホフ、バーニー・サンダース下院議員らが登壇。3日目は副大統領候補のティム・ウォルズに加えて、ビル・クリントン元大統領や俳優・司会者のオプラ・ウィンフリー、スティービー・ワンダーなどが登場。そして最終日は、ハリスが指名受諾演説を行った。

◆ミシェル・オバマが示したファッションの政治力
 なかでも強い存在感を発揮したのがミシェル・オバマだ。彼女は「希望の力が復活しつつある」と力強い口調で語り、オバマの選挙戦を思い起こさせるようなレトリックで聴衆を大いに盛り上げた。同時に、彼女が着用していたスーツが、彼女のパワーと魅力をさらに増幅させ、注目を集めた。そのスーツはダーク・ネイビーのスリーブレス・ジャケットと、足首が見えるクロップトパンツのセットアップで、ジャケットの十字に交差したラペルと金具のついたベルトが鎧のような雰囲気を醸し出している。

 スーツは、韓国系アメリカ人のローラ・キムと、ドミニカ共和国とスペインで育ったフェルナンド・ガルシアの両氏が2015年に立ち上げた新興ラグジュアリーブランドのMONSE(モンセ)のデザイン。ミシェルがモンセの服を着用するのは今回が初めてではない。

 ヴァニティ・フェアはミシェルのスタイリングを評価し、「オバマの装いは、単に見た目がゴージャスなだけでなく、ハリスの人柄とキャンペーンをファッショナブルに表現していた」と伝える。また、男性のスーツを女性用にリデザインした装いは、バイデン大統領という男性のために計画されたものを、ハリスという女性候補のために再構築するという流れになった今回の選挙キャンペーンを象徴的に表現するものであると分析した。

 一方、ニューヨークタイムズの記事はミシェルのスーツについて「控えめでありながらエッジが効いていて、一種の武具のようだった。彼女のチュニックと演説が示唆するように、(選挙戦の今後は)戦いが予測される」と伝えた。

 ハリスがミシェルとバラク・オバマからパワーとバトンを引き継いで、今後どのようにパワーを発揮いくのか。その政治手腕だけでなく、ハリスのスタイルにも注目したい。

Text by MAKI NAKATA