ガーナ議会、厳格な反LGBTQ+法案を可決 大統領署名しないよう国内外から要求

Misper Apawu / AP Photo

◆国内外から反発の声
 法案可決に対し、人権機関などからは反発の声が上がっている。人権擁護機関のヒューマン・ライツ・ウォッチは、ガーナのナナ・アクフォ・アド大統領はこの法案を明確に拒否し、署名を拒否すべきであると主張。ガーナ憲法においても、国際法においても、この法案は人権侵害にあたる。同じく、アムネスティ・インターナショナルも声明を発表し、大統領は承認サインをすべきではないと主張。同団体のガーナ・カントリー・ディレクターは、ガーナが国連人権委員会に選出された直後のこのニュースに衝撃を受けているとのコメントしている。国連アメリカ政府も同様の声明を発し、懸念を示した。

 反対の声は国内からも上がっており、ガーナの財務省からはこの法案が成立すれば、この先5〜6年は世界銀行からの資金が停止する可能性があると警告。その総額は38億ドル(約5600億円)に相当すると見込まれる。ガーナは現在財政難にひんしており、昨年は国際通貨基金(IMF)の救済を受けている。昨年、ウガンダで同性愛を違法とする法律が制定されたこと受け、IMFは同国に対して新規ローンの凍結を発表した。ロイターによれば、アクフォ・アド大統領は、まずは違憲かどうかに関しての最高裁判決を待ってから行動するとの声明を出している。BBCは12月の大統領・議会選挙までに最高裁が判断を下すことは考えにくいとの見方を示している。

 アムネスティによれば、アフリカ連合や国際人権の基準に反し、アフリカの31ヶ国においていまだに同性愛が違法とされている。LGBTQ+の概念に関しては、「白人的」「欧米から輸入された考え」「アフリカ的でない」とする見方もあるようだ。法案成立回避には、国際的な人権擁護団体の働きかけとともに、財務省のように国内からのより強い働きかけが求められる。

Text by MAKI NAKATA