「トランプ対デサンティス」大統領予備選で共和党内紛の可能性

トランプ前米大統領(左)、フロリダ州のデサンティス知事|AP Photo

◆トランプ氏、デサンティス氏攻撃を激化
 これら多数の共和党員のなかで、トランプ氏後継者として最も有力と目され人気を集めているのがデサンティス氏だ。共和党および共和党寄り無所属有権者を対象としたCNNの世論調査では、40%がトランプ氏を支持し、36%がデサンティス氏を支持するという結果となり、その差は4%とじりじりと縮小してきている。その後に続くのはペンス前副大統領とヘイリー前国連大使だが、支持率は6%と大差をつけられている。

 そのようななかでトランプ氏はデサンティス氏を再選の野望を阻む可能性がある敵とみなし、攻撃を始めた。ABCニュースによると、トランプ氏支持のスーパーPAC「MAGAインク」は、デサンティス氏が選挙運動資金と倫理規定を破り、大統領選出馬表明をせずに「シャドーキャンペーンを行っている」という苦情をフロリダ州倫理委員会に提出した。つまり、同氏がまだ正式に出馬表明をしていないにもかかわらず、裏では他州に遊説に行くなどの選挙運動を進めているということである。トランプ氏はほかにも自身のソーシャルメディアにデサンティス氏を嘲る投稿をするなど、同氏に対する攻撃を激化してきている。

 デサンティス氏は今後5月か6月には正式な出馬表明を行うとみられており、そうなれば「トランプ対デサンティス」の共和党内紛はさらに悪化するものと予想される。そうなれば共和党そのものの信用やイメージにも傷がつくと思われるが、今後デサンティス氏がトランプ氏からの攻撃にどのような対応をするかに注目が集まっている。

Text by 川島 実佳