暗くなるプーチン大統領の前途 実情知る軍と政権内部で不満募る

Mikhail Klimentyev, Sputnik, Kremlin Pool Photo via AP

 ウクライナ侵攻の正当性をプロパガンダするロシアのプーチン大統領だが、厳しい戦況を知る軍と政権の内部では、無謀で危険な作戦への不満がくすぶる。健康不安とあわせ、水面下では解任への動きが起き始めていると報じられている。

◆厳しい戦況 プーチンに募る不満
 ロシア軍は東部で支配域をじわじわと広げているものの、短期決戦でのキーウ占領を描いた当時の構想は外れ、軍からの不満が表面化するようになった。英テレグラフ紙(6月4日)は、「プーチンの評判は深刻なダメージを受けた」と述べる。大衆向けには「特別軍事作戦」が成功しているかのようなプロパガンダを行っているが、陸軍内部には実態を把握している者も多い。兵が満足に補充されない現実に不満が上がっており、「将官たちはプーチンが予備兵の動員をためらっていることに憤慨している」と記事は伝えている。

 こうした侵攻作戦の停滞は、プーチンに致命傷をもたらす可能性がある。米外交政策評議会(AFPC)のハーマン・ピルヒナー・ジュニア議長は、米ヒル紙(5月13日)に寄稿し、プーチン失脚のシナリオはあり得るとの考えを示した。ウクライナ侵攻の長期的な危険性を軍部が容認しきれなくなることで、ロシア軍の一部がロシア連邦保安庁(FSB)に同調し、解任へ足並みを揃える可能性があるとの分析だ。

Text by 青葉やまと