競争なき民主主義…日本政治の危機、誰も救えない? 自民総裁選を見る海外メディア

Kimimasa Mayama / Pool Photo via AP

 菅首相の突然の不出馬の表明で、自民党総裁選は混戦模様だ。総裁選は事実上の首相選びと海外メディアは解説しつつも、誰が勝っても以前の短命政権の連続に戻る可能性は高いと報じている。しかしそれでも熱い支持を得ない自民党による政治は続くとし、「競争なき民主主義」という日本政治の問題点を指摘している。

◆河野氏一番人気 評価基準は政策ではない?
 現在のところ総裁選に立候補しているのは、岸田前政調会長、河野規制改革担当相、高市前総務相の3人だが、世論調査での人気が高いことから、海外では河野氏に関する記事が目立つ。ロイターは、58歳の河野氏は人気者のワクチン担当相と紹介。英語が堪能で、ソーシャルメディアでの発信力もあり、自信、戦略、頑固さを活かし、保守的与党自民党の党首および首相になることを望んでいるとした。もっとも英エコノミスト誌は、河野氏は国民からの人気は高いが、破天荒という評判が党内では嫌がられていると述べている。

 政策面においては微妙な違いはあるものの、候補者全員が日米同盟支持、中国の拡張主義に対抗、そして現状の金融財政政策を維持すると見られ、主な対立点はむしろ世代やイメージ的なものだとエコノミスト誌は述べる。予測可能な旧来型の党員タイプである岸田氏、独立心が強くカリスマ性のある河野氏、国粋主義者の高市氏という3人の特徴を、自民党所属の国会議員と党員がどう評価するかだと見ている。

Text by 山川 真智子