「ワクチン未接種者は入国禁止」発表のマルタ、直前に撤回
◆7月9日発表が生んだ混乱とEUからの批判
バカンスシーズンに差し掛かってから出されたこの7月9日の発表は、発効まで5日間と短いこともあり、当然ながら少なからぬ混乱を生んだ。すでに短期語学ステイに訪れていたイタリア人やフランス人、ベルギー人の学生ら数百人はそのままホテルの部屋に隔離されている(ユーロニュース、7/14)。なかには、13歳の中学生も含まれているという(ル・モンド紙、7/14)。
まだ出発前であっても予定していた語学留学やバカンスが不意になった人々への補償については言及がなく、空の便であるマルタ航空は、キャンセル保険に入っていなかった予約客への払い戻しはしないとの考えを示していた(フィガロ紙、7/10)。
◆施行直前の撤回
欧州委員会は、マルタのこの決定を憂慮。というのも、これを認めれば、EUが作った「新型コロナウイルス証明書」をEUメンバー自身が否定することになるからだ。ティエリー・ブルトン欧州委員は、マルタに赴き、マルタのロバート・アベラ首相と会談。それが功を奏したのか、マルタは土壇場で、ワクチン未接種者にも隔離を条件に入国を認める但し書きを発表した。
新しい決定によれば、EUや日本など「黄色」リストにある国からマルタに入国する12歳以上は、新型コロナワクチン未接種である場合、基本的に自費による14日間の隔離を受けなければならない。これはマルタ国民であっても同様だ。(タイムズ・オブ・マルタ、7/14)