「名ばかりの大会に」東京五輪開催に、海外から懸念・批判の声

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 東京五輪開催まであと100日を切った。菅首相は「世界団結の象徴」として大会を実現すると発言。国際オリンピック委員会(IOC)も、東京の準備は続いており、開催が待ちきれないと公式ホームページに記している。しかし多くの海外メディアが、現状では開催は難しいと報じており、再考すべきという意見も出ている。

◆日本は感染拡大真っただ中 緩さに不信感
 開催困難の理由としてまず上げられているのが、日本がコロナ第4波に見舞われており、十分に感染抑制ができていない点だ。ロイターは、大会100日を切っているのに準緊急事態措置が拡大していると指摘。日本は限られた検査能力とワクチン接種の展開の遅さに加え、感染抑制において「お粗末なパフォーマンス」を見せているという英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)掲載の論文を紹介している。

 英ガーディアン紙の社説は、ワクチン接種はやっとスタートしたものの、変異株の感染が急増していると報じている。東京、大阪などで記録的感染者数となっている開催国日本の現状は、チケットの売れ行き不振、会場未完成などといった通常の大会の懸念をはるかに超えていると述べている。

 さらに日本の緩い感染対策は、五輪関係者受け入れにおいても心配されている。ガーディアン紙は、海外客受け入れは断念したものの、数万人の選手、役員、メディア関係者などが東京にやってくると指摘する。現状では検査を受け、厳格なルールに従うことになるが、競技者に隔離や予防接種の義務はない。他国の国際大会で競技後の感染が見つかったことなどから懸念が高まっており、北朝鮮はすでに東京五輪への不参加を決定している。

Text by 山川 真智子