トランプ支持か否か 弾劾裁判で共和党が内紛状態に
2月9日、アメリカの上院議会でトランプ前大統領の2度目となる弾劾裁判が開始された。下院では先月すでに、10名の共和党議員を含む過半数が賛成したことで弾劾の判決が下されており、上院では3分の2以上の賛成票がないと有罪が可決されない。民主党下院議員で構成される弾劾裁判管理人は1月6日の連邦議事堂乱入事件のビデオを上映し、トランプ大統領がペンス副大統領の生命を脅かしたと主張して、トランプ氏の責任を明確にする裁判を展開したものの、少なくとも表面上ではトランプ支持派が圧倒的に多い上院の共和党議員50名のうち、17名もの意見を変えることはできなかった。
結局、2月13日の投票では、上院の共和党議員7人が有罪票を投じたが、必要な票数には届かず、トランプ氏の罪状は否決されてしまった。しかし、有罪が否決されたからといって、今回の弾劾裁判では決して明白に「トランプ氏無罪」という結果になったわけではない。トランプ氏が支持者を扇動したということは誰もがわかっていたものの、判決の背景には共和党内の駆け引きと分断、そして計算があったのである。
◆共和党トップ「議事堂襲撃はトランプが誘発」
有罪が否決された直後、共和党のミッチ・マコネル上院院内総務は演説を行ったが、意外にもその内容はトランプ氏を強く批判するものだった。CNNによると、マコネル氏は、「暴動前のトランプ前大統領の言動は、不名誉な、不名誉な(大統領としての)義務の放棄だった」「トランプは事実上、そして道徳上、この日起こった出来事を誘発した責任がある」と発言し、将来的にトランプ氏が民事裁判にかけられる可能性を示唆した。それにもかかわらず、マコネル氏はトランプ氏に有罪票を投じていない。その理由は、同氏と多くの共和党員は、トランプ氏はすでに大統領職を退任していたため、憲法上で弾劾裁判にはかけられないと主張したからである。マコネル氏の言う通り、トランプ氏は今後、刑事および民事裁判で訴えられる可能性はある。
しかし、マコネル氏の主張は矛盾している。なぜなら弾劾裁判を2月に延期するよう民主党に要請したのはほかならぬ同氏自身だったからだ。つまり、同氏は自分から裁判の延期を要請したにもかかわらず、トランプ氏退任後の弾劾裁判が違憲であると主張するという矛盾した行動に出たのである。
マコネル氏の発言を受けてナンシー・ペロシ下院議長は裁判後に記者会見を行い、「マコネル上院議員が(下院からの)弾劾条項を受け取らないために(トランプ氏退任まで)上院を閉鎖し続け、そしてそれをドナルド・トランプに有罪票を投じない理由としたのは情けないことだ」と計算的な同氏の言動を批判した(CNN)。
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