フランス:良い市長が良い首相となる例が続くか?
フランスで今月政権交代したフィリップ元首相とカステックス新首相は、いずれも任命時に市長職にあったという共通点を持っている。日本ではあまり聞かないが、フランスでは市長から閣僚に選ばれたり、また大臣を退いて市長に返り咲く政治家が珍しくない。
◆シラクもサルコジも元市長
エドゥアール・フィリップ仏首相は7月3日に辞表を提出。大統領府エリゼ宮はこれを受け入れ、即日新首相にジャン・カステックスを任命した。カステックス新首相は、フランス南西部スペインとの国境近く人口6500人の町プラードの市長を2008年から務めており、今年3月の選挙でも76%の支持率で再選したばかりだった。昨日の市長が今日の首相というニュースに、プラード市民からは「誇りに思う」という声が寄せられた(ユーロップ1、7/4)。
とはいえ、フランスでは市長と大臣の役職の行き来は、それほど珍しいことではない。辞表を提出したフィリップ元首相も、2017年に誕生したばかりのマクロン大統領に首相任命を受けるまでは、ノルマンディーの港湾都市ル・アーヴル市長を約7年務めていた。そうして、今回首相を辞した2日後の7月5日には、ル・アーヴルの市長に再就任した。
カステックス新首相が7月6日発表した新内閣は、女性が過半数を占め、平均年齢50歳とさらに若返ったメンバーで構成されている。国内治安の要となる内務大臣に指名されたのは、旧内閣で行動・公会計大臣を務めたジェラルド・ダルマナンだが、ダルマナン内相もまた5月23日、トゥルコワン市長に再選されたところだった。
ほかにも例には事欠かない。第一次フィリップ内閣発足時には、閣僚に任命された19人のうち4人が現職市長だった。上述のフィリップ首相、ダルマナン行動・公会計大臣のほか、リヨン市長から内務大臣に任命されたジェラール・コロン、ポー市長から司法大臣に任命されたフランソワ・バイルがそれにあたる。さらに遡れば、故シラク元大統領(任期1995-2007)は、1977年から95年までパリ市長として手腕を振るったし、サルコジ元大統領(任期2007-2012)も、2002年に内務相になるまで、20年近くヌイイ市長を務め上げたことが知られている。
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