ウォーレン氏の人気が急上昇 米大統領選の民主指名争いに異変

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◆台頭するウォーレン氏
 そんなバイデン氏に代わり、9月後半に入って世論調査で急激に上昇したのがエリザベス・ウォーレン上院議員(70、マサチューセッツ州選出)だ。ウォーレン氏は9月23~29日にモンマス大学が行った世論調査で28%の支持率を獲得し、バイデン氏の25%を3ポイント上回った。一方、バイデン氏と並んで本命視されていたバーニー・サンダース上院議員(78、バーモント州)は15%と低迷している。しかも米政治サイト『ポリティコ』によると、詳細は公表されていないが、サンダース氏は最近心臓発作を起こし休養中ということで、健康に関する懸念もある。

 また、9月28~10月1日に英誌エコノミストとYouGov(英国を拠点とするマーケットリサーチ/データ分析会社)が実施した世論調査では、ウォーレン氏が28%、バイデン氏が22%、サンダース氏が13%とさらにリードを広げている。

 しかし、9月26日~10月6日に米政治サイト『ポリティコ』とモーニング・コンサルト(テクノロジー/メディア企業)が実施した世論調査ではバイデン氏が33%、ウォーレン氏が21%、サンダース氏が19%とバイデン氏が大きくリードしている。事実上、民主党大統領予備選は、バイデン氏とウォーレン氏の争いになったと言ってもよいだろう。

◆ウォーレン氏の魅力と弱点
 ウォーレン氏の魅力は、中道派にアピールする法律の専門的知識、そしてプログレッシブと呼ばれる左派にアピールする先進的な姿勢かもしれない。ウォーレン氏の選挙キャンペーン用ウェブサイトによると、商業法を専門とする同氏はラトガース大学やテキサス大学、ハーバード大学などで30年間教鞭を執った経験を持ち、2013年にマサチューセッツ州から上院議員に立候補して当選し、現在に至る。

 しかし、ウォーレン氏の弱点はバイデン氏に比べると一般的に知名度が低いことだろう。とくにアフリカ系アメリカ人はオバマ前大統領の副大統領として広く知られるバイデン氏に親近感を持つ傾向が強いと思われる。『ポリティコ』によると、黒人有権者を対象に行われた世論調査では76%がバイデン氏支持を明らかにしているという。

 ウォーレン氏の今後の課題は、いかにマイノリティ(少数民族)有権者層の支持を獲得するかにあるだろう。バイデン氏が民主党大統領候補になった場合、ウォーレン氏が副大統領候補になることでより支持者のバランスが取れる可能性が高い。しかし、逆にウォーレン氏が大統領候補になった場合は、すでに副大統領を務めたバイデン氏が再び副大統領になることは考えにくいため、ベト(ロバート)・オルーク前下院議員(テキサス州)など若いプログレッシブ派を選ぶ可能性が高いと思われる。

Text by 川島 実佳