次期英首相を選ぶ16万人の「保守党員」とは? 「犠牲を払ってもEU離脱……」
◆一般人からかけ離れている? 保守党員の素顔とは
イギリスの6政党の党員を調査した「The Party Members Project」によれば、保守党員の97%は白人(総人口では86%が白人)で、ほかの党に比べて年配者が多く、10人中7人が男性、おそらくミドルクラスだと思われるという。20人に1人は年収10万ポンド(約1400万円)を超えている。さらに、保守党員は一般のイギリス人と比べてより右寄りの考えを持っていることも明らかになった。
さらに6月に行われたYouGovの調査では、61%の保守党員が経済に「甚大な被害」を与えてもブレグジットを望むとしている。また、63%はスコットランドがイギリスから出て行ってもブレグジットを選ぶとし、59%が北アイルランドが出て行ってもブレグジットを実現したいとしている。きわめつけは、労働党のコービン党首が首相となる場合は、51%がブレグジットをあきらめるとしたことで、保守党員は、猛烈な離脱支持派だという結果になった。
YouGovの調査結果を受け、スコットランド国民党(SNP)のキース・ブラウン氏は不快感を露わにしている。スコットランドの未来がきわめて強硬な保守党員の手中にあることは恐ろしいとし、スコットランドの国益を考えるなら、今後のイギリスからの独立があることも示唆している(SNPホームページ)。
保守党政権に閣外協力している北アイルランドの民主統一党の広報官は、そもそも調査の質問が仮定の話ばかりで、だれも結果を真面目に捉えはしないと述べる。閣僚経験もある保守党の政治家、ノーマン・テビット卿は、こういった調査が次々と出てきており、もう意味をなさなくなっていると、調査自体を疑問視している。しかし、アイルランドのナショナリズム政党、シン・フェイン党の議員は調査結果を歓迎。アイルランド統一への支持と受け止め、統一に向けた国民投票の準備を始めるときだと述べている(北アイルランドのニュースサイト『ベルファスト・ニュースレター』)。
◆本命にプランはあるのか? ブレグジット一色にも辟易
米ウェブ誌『クオーツ』は、もし党首選の投票者が人口動態的に似たような候補者を選ぶとするなら、好みの党首は白人男性で合意なき離脱を辞さない人物だとし、ボリス・ジョンソン氏が勝利するだろうと述べる。
英タイムズ紙のマット・チョーリー氏は、ほかにも議論すべき政策はいろいろあるだろうに、今回の党首選で話題になるのはブレグジットばかりだと嘆く。そして今必要なのは、かけ声やポースばかりの候補者ではなく、離脱に向けた計画を持った人物だとする。なぜならもしもブレグジットが起きなかった場合、真っ先に反乱を起こすのは期待外れの党首を選んだ保守党員たちになるからだとしている。
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