ついに開示? トランプ氏の納税情報 攻防ヒートアップ、追い詰められる大統領

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◆追い詰められるトランプ大統領、四面楚歌の状況に
 しかし、ニューヨーク・タイムズの5月8日付の記事によると、ニューヨーク州上院議会は同日、トランプ大統領の州確定申告(米国では各州政府および連邦政府に確定申告をしなければならない)の公表を可能とする州法を可決した。記事によると、ニューヨーク州の確定申告は、連邦レベルの確定申告とほぼ同じ情報が記載されている。もし財務省がこのままトランプ大統領の納税申告書提出を拒否し続けても、同州で法が正式に署名され施行されれば、同州確定申告が歳入委員会委員長に提出されることとなる。

 また5月20日付のU.S.ニュース&ワールドリポート誌(電子版)の報道によると、連邦地方裁判所判事は同日、トランプ大統領は米下院議会が要求した同大統領の財務記録提出を拒否できないと判断を下した。判事は、大統領が外国から報酬を受け取ることを禁ずる憲法に違反していないかどうか議会が財務記録提出を求めることは「正当な立法上の目的である」とし、議会の要求を阻止しようとするトランプ大統領側の意見を退けた。

 一方、ニューヨーク・タイムズ(電子版)は5月21日、トランプ大統領の過去6年間の納税申告書提出を内国歳入庁に求める議会の要求を、同庁が「大統領特権が執行されない限り、議会の要求を拒否することはできない」と書かれた秘密の法律文書が同庁に出回っていたと報道。前述したムニューシン氏の姿勢との矛盾が明らかになった。しかもその文書には、財務長官(ここではムニューシン氏)が歳入委員会委員長による要求を法律上で拒否する権利はないと書かれていた。

 必死で自身の納税申告書の公表を逃れようとするトランプ大統領は四面楚歌の状況に立たされている。米議会がトランプ大統領の過去の財務記録に一体何が隠されているのかを学ぶ日もそう遠くないだろう。

Text by 川島 実佳