「そもそも悪いのはキャメロン」 EU離脱めぐり大混乱、怒りの矛先は前首相へ

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 英下院は、テリーザ・メイ首相のEU離脱協定案を賛成202票、反対432票の歴史的大差で否決した。内閣不信任案のほうは僅差で否決されたものの、打開策をめぐっては野党からの協力は得られず、メイ首相は依然として難しいかじ取りを迫られている。もっともEU離脱を問う国民投票を実施したのは、デビッド・キャメロン前首相だ。国を大混乱に陥れた張本人はどこへ行ってしまったのかと、同氏に対する批判が再燃している。

◆貧乏くじを引いたメイ首相 悪いのはキャメロン前首相
 キャメロン前首相は2013年1月に、選挙で勝利して自らの政権続投が決まれば、EU離脱を問う国民投票をすると公約した。反EUで支持を伸ばしたイギリス独立党(UKIP)の勢いを削ぎ、保守党内の離脱派を抑え込む意図があったとされる。選挙では保守党が圧勝したため、国民投票の実施が実現することとなった。

 もっともキャメロン氏は、EU改革は必要としながらも残留を支持していた。ところが投票の結果、離脱派が勝利したことで辞意を表明。貧乏くじともいえるその後を引き継いだのが、もともとは残留を支持していたメイ首相だった。

◆政界から消えたキャメロン氏の今は……?
 英デイリー・メール紙は、国民投票で負けた後、責任を放棄してイギリスを見捨てたと、キャメロン氏は非難されてきたと伝える。2016年7月に首相を退いた後は政治の表舞台から姿を消し、それ以降に起こったことに対してほとんどコメントしていない。

 英大衆紙メトロによれば、キャメロン氏は推定80万ポンド(約1億1300万円)の収入が見込まれる著書を執筆中だという。BBCは、キャメロン氏がコッツウォルドの自宅の庭に2万5000ポンド(約355万円)かけて薪ストーブとソファベッドを備えたデザイナーズ小屋を作り、そこで執筆する計画だと2017年4月に報じている。

 デイリー・メール紙によれば、冬のロンドンでメイ首相が保守党の反乱軍の猛攻を受けている間、キャメロン氏は日の光が燦々と降り注ぐコスタリカで、家族とともに正月休みを過ごしていたらしい。太陽とビーチとサーフィンを楽しむ姿が目撃されていたということだ。ちなみにキャメロン氏が泊まった部屋は1泊1,728ポンド(約24万5000円)。ボディーガード用のヴィラでさえ、一泊490ポンド(約7万円)だったと報じられている。

Text by 山川 真智子